「WORK」(働く)と「KO(子育て)」のこれからを考えるイベント「WORKO!2016」が11月6日、東京・日本橋の「YUITO 野村コンファレンスプラザ日本橋」で開催されました。
このまま働き続けるか? そろそろ働き始めるか? 各々の立場で迷えるご夫婦に、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんとリクルートワークス研究所の石原直子さんが、10 年後を見据えた長期の視点からアドバイスを送った。
※本記事は「AERA」12/12号より転載しています。
苦しいのは3歳まで その後は楽になる
子どもが泣いても大丈夫、誰も迷惑がらないイベントなので安心して対談を聞ける
氏家さんによれば、育休明けは経済的に辛い時期なのだそうだ。 「社会保険料が免除されていた育休が明けると、社会保険料に加えて保育料がかかり、支出がかさみます。でも苦しいのは3歳にな るまで。3歳児になると保育料はぐんと安くなりますから、それまでは貯金を切り崩しても大丈夫です。共働きなら必ずまた貯金できますよ」
この考え方はキャリアにも応用できる、と石原さんは同意する。「育休明けは、前と同じように働けず、期待に応えられない苦しさがあります。でもそれは、休み前 に蓄えた周囲からの〝信用〟という貯金で乗り切る時期。子どもが3歳になると、病気をしなくなったりオムツが取れたりして、仕事を続けるのも楽になります」
お金については、子どもの成長に従って再びマイナスに転じる傾向が強い。教育費がかかるからだ。 それでも一般的には定年後、妻がパート勤めならトントンに、共働きならプラスに盛り返すというから、やはり、仕事を辞めるリスクは高そうだ。 正社員だった人が数年のブランク後に、以前と同じレベルの再就職を果たすのは難しい。 しかし石原さんは、再就職市場にも社会の急速な変化を感じている。「労働人口を増やすのは国の急務であり、女性やシニアが働きやすいパッケージが考えられています。 ぜひ、自分に合った働き方を見つけるチャレンジをしてください」
女性の働き方が多様化することは、男性のためにもなる。家計の担い手が二人いれば、勉強のため に休職したり、思い切って起業をしたりといったオプションも増えるだろう。
将来、自助努力は今より必要になる
ファイナンシャルプランナー 氏家 祥美さん
配偶者控除の対象となる103万円の壁、社会保険の負担が発生する130万円の壁を意識する女性もいる が、この恩恵はいつまでも続くのか。
「今の制度ができた頃は、10人で1人の高齢者を支えていました。現在は10人で4人。このまま少子 高齢化が続くと2060年には10人で8人を支える計算になりますから、配偶者の優遇処置は恒久的 なものとは考えられません。今より自助努力は必要になるでしょう」(氏家さん)
リクルートワークス研究所 Works編集長 石原直子さん
「そもそも、正社員だった頃は103万円以上のお給料をもらっていた女性たちです。つまり、それだけの経済的価値がある働き手 だったのです。能力があるのに、壁の範囲内でセーブして働くのはもったいない」(石原さん)
辞めどきは今ではなく、歳をとって体力的に無理になってから、と石原さんは締めくくった。 「イキイキと働く母の姿を、子どもは好意的に見てくれています。仕事と子育て、二つの楽しいことを、どちらも諦めず暮らせる時代に期待しましょう」
◆参考