両立支援

【介護する社員のいきいき働くを考える】ビジネスケアラーが「自分らしく働く」を見失わないためにできることとは 広島大学大学院教授 児玉真樹子氏

介護ワーク・ライフ・バランス

2023年08月22日 転載元:リクルート ワークス研究所

【介護する社員のいきいき働くを考える】ビジネスケアラーが「自分らしく働く」を見失わないためにできることとは 広島大学大学院教授 児玉真樹子氏

介護の担い手のボリュームゾーンは、職場で中核的な役割を担い、一定のキャリアを築いてきた40代以降の人々です。こうしたビジネスケアラーは、介護が始まった時「自分らしく働けなくなった」と感じ、仕事における自分の存在意義を見失ってしまうことがあります。 家庭と仕事を両立する人の心理状態などを研究する広島大学大学院教授の児玉真樹子氏に、介護によって揺らいだ職業的アイデンティティを立て直すための方法などについて聞きました。


「思うように働けない」葛藤がアイデンティティを揺るがす

――働き手のアイデンティティは、どのように形成されるのでしょうか。

職業的なアイデンティティが確立した状態とは、自分がどんな仕事をしたいのかを理解しそれを実現している、つまり自分らしく働くことができている状態です。昨今は先行きが不確実な「VUCA」の時代を生き抜くためにも、ビジネスパーソンが職業的アイデンティティを確立し、それをベースに自律的なキャリアを築くことの重要性が高まっています。

職業的アイデンティティがどの程度確立されているかは、三つの側面によって把握できると考えられます。一つは自分が仕事上の役割を果たせているという「役割獲得感」、二つ目は、仕事を通じてやりたいことを実現できている、という「個人的な実現感」、そしてもう一つが、うまくキャリアを築けていないという「喪失感」です。家庭や職場で起きるさまざまな出来事によって「今までのように働けない」と本人が感じると、職業的なアイデンティティは揺らぎ、喪失感が高まって、ほかの二つは低下するのです。

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