障がい者の活躍

会社全体で障がい者の雇用と共に働く文化の醸成に臨む :日本アイ・ビー・エム

企業事例職場マネジメント

2023年12月19日 転載元:リクルートマネジメントソリューションズ

会社全体で障がい者の雇用と共に働く文化の醸成に臨む :日本アイ・ビー・エム

特例子会社が障がい者雇用を集中的に担う企業グループも多いが、日本アイ・ビー・エム株式会社は特例子会社を作らず、会社全体で障がい者雇用に臨んでいる。なぜそうしているのか。どのような方針があって、どういった取り組みがあるのか。日本アイ・ビー・エムで人事ダイバーシティ&インクルージョン リードを務める鳥居由起子氏に詳しく伺った。

ー障がいは多様な能力、という捉え方

IBMでは、障がい者を「PwDA(People with Diverse Abilities)」と呼んでいる。障がいを多様な能力と捉えているのだ。
「IBMにとって、障がい者活躍は、女性、LGBTQ+、介護と並ぶD&I(Diversity & Inclusion)の最重要項目の1つです」と語るのは、D&Iをリードする鳥居氏だ。「海外のIBMでもPwDA雇用を重視しています。ドイツやフランスなど、日本と同様に障がい者の法定雇用率が制定されている国もあります。私のドイツ人のマネージャーをはじめ、さまざまな国と連携し、情報共有を重ねています」

ーPwDAのことで困っているという現場の声には柔軟に対応

IBMでは、「誰もが活躍できる職場環境が組織全体にあるべきで、障がい者雇用が特定組織に集中するのは理想的ではない」という経営層と人事部門の合意のもと、特例子会社を設けていない。さまざまな組織にPwDAが在籍し活躍している。また採用においては、各組織のPwDA採用リーダー・HRBP・採用担当・鳥居氏たちが「Diversability Oriented Hiring Project(多様な能力に着目した採用プロジェクト)」を立ち上げ、求める人物像や採用戦略などを検討している。
鳥居氏によれば、PwDA雇用に関する大きな混乱は特に起きていないという。「多くの部門が他の社員と同じようにPwDA社員を迎え入れ、支援しています。個々の事情への配慮はしますが、特別扱いや優遇はしない、というのが私たちの一貫した方針です。これは、障がいのない社員と同様、できないことだけではなく、多様な能力に着目しているからです。個別の事情への配慮としても、例えば、PwDA社員が通院することと、社員が通院や介護で休むことは自身や家族のケアのために休暇をとるという観点で同列と考えています。もちろん、私のもとに、PwDA社員への対応で困っているから相談したいという声があれば、配属部門および人事部門が連携し、都度対応しています。
PwDAの活躍は、組織にプラスに働くことが多いです。例えば、Access Blue(後述)のOJTでPwDAを受け入れたある部門のマネージャーからは、“PwDAメンバーがプロジェクトに加わったことで、個と向き合い、対話する姿勢が浸透して、結果的にプロジェクト全体のパフォーマンスが向上した”とコメントをもらいました」

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