「はたらく育児」叶える「iction! FORUM 2016」開催 産・官・学・民がリアリティある解決策を議論
iction!の取り組み 、 イベント 、 家事・育児
2016年03月26日
2016年3月26日、リクルートグループは「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る。」の実現に向けて、さまざまな分野でご活躍の皆様と共に、日本の「はたらく育児」が抱える課題について議論する「iction! FORUM 2016」(イクションフォーラム)を開催いたしました。
オープニングスピーチを担当したのは、経済産業省・経済産業政策局の藤澤秀昭氏。 ダイバーシティ推進を担当する立場から、「成長戦略としての女性活躍の推進」をテーマにお話いただきました。
続いて登壇した戸板女子短期大学の客員教授を務める女優の菊池桃子氏は、 育児と仕事の両立から生まれる悩みを調査データをもとに紹介しながら、「子育て現場の『小さな声』を拾っていきたい」 と力強く宣言しました。
今回のフォーラムには、会場のキャパシティを大きく越える参加希望をいただき、 抽選によって当選した方を含む300名が来場。参加者の方々を前に、iction!推進事務局長(当時)の小安は、 「企業だけではなく、行政、自治体、NPOの皆様、そして個人の皆様含めて、この問題を共に解決していく。 そんなムーブメントを起こしていきたい」と今回のイベントに込めた思いを説明しました。 大きな問題に立ち向かうために大切なのは、"共に"解決していくことです。
「この4年で環境は変わってきた。解決のチャンスは今だ」と語るのは、リクルートワークス研究所所長の大久保。 「『はたらく育児』3つの課題」と題した基調講演にて、 仕事と育児の両立を妨げている主要な3つの課題について解説しました。 子どもを育て、仕事をする。この当たり前の営みを困難にしている原因は何なのでしょうか?
夫や両親の理解が得られず、「出産後、仕事を続けられない」という事実。 育児の現場には、3歳までは母親が子どもを育てる"べき"だという「3歳児神話」が、 まだ色濃く残っているようです。そして、もし仕事を続けられたとしても、 ワーキングマザーにのしかかるのは「両立のストレス」。さらに、夫の態度、家計、ハラスメントなど、 さまざまな場所にストレスの原因が潜んでいます。
また、一度離職をしてしまうと、再び仕事をしたいという思いがあっても、 なかなか希望条件に合う仕事が見つからず「再就職したいのにできない」という問題も。 これらの課題を可視化し、その要因を理解することから解決への第一歩が始まります。
ランチタイムセッションのあとは、3つのテーマでパネルディスカッションを実施しました。
「子育てしながら働きやすい社会」をテーマにした1つ目のパネルディスカッションでは、 「これからの時代は一人ひとりに合ったマネジメントがあって当たり前」と、 内閣府 内閣府少子化社会対策大綱を踏まえた結婚・子育て支援の推進に関する検討会 座長代理(民間シンクタンク 勤務) の渥美由喜氏が力説。
「はたらく育児」を実現する、企業や行政の成功事例を紹介
ほかにも、時短勤務を宣言する制度を整えるなど、 働きやすい会社作りによって離職率を大幅に減らし企業ブランディングにも成功しているサイボウズの事例や、 企業、住民、大学の研究所などが一緒になって、 働き方を変えていくための拠点を地域の中に作るという横浜市の取り組みなどが紹介されました。
2つ目のセッション「「両立」から「シェア」へ〜家庭での"男性活躍"を応援しよう〜」も大盛り上がり。
「日本は、管理されることに慣れてしまっている」と、日本と母国フィンランドを比べて話してくれたのは、 坂根シルック氏。日本では、いまだに在宅勤務やフレックス勤務がスタンダードになりませんが、 細かく管理するという考え方から、フレームと責任を明確にする思考にシフトすることで、 「限られた時間のなかで働くことも可能になる」と、シルック氏は語ります。
柔軟な働き方への「変化」が、はたらく育児を可能に
フレックス勤務を「誰でも使っていい」制度にしたというのは、 三井物産ロジスティクス・パートナーズ代表取締役社長の川島高之氏。 柔軟に働く自由を与えることで、結果的に社員が自立し、企業としての成果も上がったという成功事例を紹介しました。
働き方を変えるという視点になると、「大企業だから」「ベンチャーだから」と 今の環境をできない理由にしてしまいがちです。しかし、 「言い訳をせずに、自分が変化の起点になる意識が重要」と、認定NPO法人フローレンスの駒崎弘樹氏は熱弁します。
最後のパネルディスカッションでは、「もう一度働きたい」という思いを持ちながらも、 時間の制約や心理的不安から、新しい一歩を踏み出せない人たちの背中をどう後押しするか ということについて語り合いました。
実際に「はたらく育児」を実現している女性たちの声は...?
ヤマト運輸は、配達員として主婦層など女性を2万人以上雇用。 自宅の近くで働きたいという母親たちのニーズをくみ取った、同社の取り組みから、学べることは多そうです。 ほかにも、再就職を希望する女性が自らを企業に売り込む「ママ・ドラフト会議」や、 安心して子どもを預けられる"つながり"を作るAsMamaの取り組みなどが紹介されました。
1日にわたる議論を見守った参加者の方からは、「いい意味で期待を裏切られました。妻も連れてきたかった」 「非常にリアリティのある話を聞けて参考になった」といった声が集まり、 アンケートでは98%の方に「参考になった」と回答いただきました。
子育てが「働くことを辞める」理由にならない、子育てをしながら「働きたい」をあきらめずにすむ。 今回のフォーラムが、この思いを叶えるきっかけになることを願います。
◆参考
『みんながその気になると変わる 「はたらく育児」の実現、チャンスは今』