両立支援 【笑顔のイクボスを目指す上司向け】 部下から妊娠報告を受けたら!?上司の心得

《社内規定・制度の確認》部下からの妊娠報告!職場の上司が知っておくべき働き方への対応とは?【上司の心得05】

iction!が提供する「笑顔のイクボスを目指す上司の心得」

部下の妊娠と仕事の両立・職場復帰をサポートする上で、上司が知っておきたい情報を、12回にわたってお伝えいたします。

「妊娠中の部下の体調に応じた働き方に関する法律や制度」と聞いて、どんな制度を思いつきますか? また、法律だけでなく、所属する会社独自の社内規定や制度について確認したことがありますか?

今回は、妊娠中の部下に向き合う上司として、知っておくべき働き方への対応について触れていきます。

《社内規定・制度の確認》部下からの妊娠報告!職場の上司が知っておくべき働き方への対応とは?

部下からの妊娠報告!社内規定や法律も踏まえて、ケースバイケースで対応を!

部下からの妊娠報告!社内規定や法律も踏まえて、ケースバイケースで対応を!

まずは、妊婦さんに関する社内規定をチェック

「妊娠しました」と、部下から突然の報告。とっても嬉しいことだけど、勤務形態は今のままでいいのか、いつまで働いてもらえばいいのか、引き継ぎはどうすればいいのか...と、さまざまな心配が頭をよぎる上司の方も多いのではないでしょうか。
でも、焦る必要はありません。まずは、自分の会社の制度がどうなっているのか、社内規定や就業規則をチェックするところから始めましょう。
最低限確認するポイントは以下のとおりです。

<就業規則のココをチェック!>

◆産前産後休業、育児休業等の休業に関する規定

会社独自の期間設定の有無や多胎の場合の規定内容を確認しましょう。

◆通院休暇など妊娠中の通院に関する規定

妊娠期が進むごとに、定期健診の回数が増えていきます。通院に関しては、会社から一方的に年次有給休暇を活用するように指示を出すことは認められていません。

◆妊娠中の勤務時間変更や早退の認定に関する規定

就業規則に記載はなくても、法律で「軽易業務転換」(労働基準法第65条第3項)や妊産婦の請求に基づく「時間外労働や休日労働、深夜業の制限」(労働基準法第66条第2項、第3項)、保健指導等に基づく「勤務時間の変更、勤務の軽減等」(男女雇用機会均等法第13条第1項)などが定められています。

妊娠初期はつわりなどによる体調不良があり、今まで通りに働けないことも。体調が安定してからも、働きすぎると切迫流産や切迫早産などのリスクが生じるため、妊娠中は常に体のケアが必要です。
体調不良のときの時短勤務や、在宅ワークなど、どこまで柔軟な働き方が可能なのかチェックしてみましょう。分からないことがあれば、人事や経営層にも相談を。

万が一、会社の規定が不十分な場合や基準が法律を下回っている場合は、就業規則よりも、母性保護の法律のほうが優先されます。トラブルを防ぐためにも、社内に十分な情報がない場合は、厚生労働省委託 母性健康管理サイトなどを確認してみましょう。

妊娠中の時差出勤、時短勤務など妊婦さんに関わる法律や制度を学ぼう!

妊産婦は、「母性保護」の観点からさまざまな法律で守られています。例えば、妊娠中の部下が望んだり、医師の指導が入ったりした場合、妊娠中の時差出勤、勤務時間の短縮、交通手段・通勤経路の変更、休憩時間の延長、軽易業務への配置転換、時間外労働・休日労働・深夜労働の制限、危険業務・有害業務の制限などが法律で認められています。

また、つわりなどで連続する3日間を含み4日以上休んだら、健康保険から「傷病手当金」が支給されます。こうした法律・制度にもぜひ目を通してみてください。

参考リンク:
厚生労働省委託 母性健康管理サイト「母性健康管理に対する企業の義務」

働く妊婦さんの負担や危険を軽減するため、ラッシュを避ける時差出勤を促しましょう

働く妊婦さんの負担や危険を軽減するため、ラッシュを避ける時差出勤を促しましょう

妊娠中、人ごみが苦手になり、朝夕の通勤ラッシュがつらく感じる人もいるでしょう。ひどい満員電車や揺れの大きいバスでは、おなかを圧迫・刺激されることもあり危険なことも。フレックスタイムや時差出勤などの制度を利用して、ラッシュ時間や混みやすい通勤経路を避けることを促しましょう。

職場に時差出勤を認める制度がなくても、保健指導等に基づき、妊娠中の女性には時差出勤などの通勤緩和の措置を認めるよう、男女雇用機会均等法で定められています。まずは本人に勤務形態や通勤に無理がないかを確認してみましょう。勤務時間は今まで通りにしつつ、体調次第で休息を取るなど、臨機応変な対応を求められるケースもあるようです。

妊娠中の働く女性の時差出勤は、法律でも認められています

妊娠中の働く女性が医師や助産師から指導を受けた場合は、その指導を守ることができるようにするために、事業主は勤務時間の変更、勤務の軽減など必要な措置を講じなければならないと男女雇用機会均等法で定められています。その措置の1つが、「妊娠中の通勤緩和(時差出勤、勤務時間の短縮など)」です。
妊娠中の働く女性は、主治医に指導事項の内容を記入してもらった「母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)」を会社へ提出し、措置を申し出ることができます。

参考リンク:
厚生労働省委託 母性健康管理サイト「母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)について」

妊娠中の自転車・バイク・車での通勤は注意が必要!事故のリスクを考慮して

自転車に乗る際の揺れや振動が、妊婦や胎児に悪い影響を及ぼすという報告はありません。ただし、バランスを崩して転ぶ可能性があり、ケガはもちろん、おなかをぶつけるようなことになれば赤ちゃんにも命取りなので注意が必要です。バイクは転倒の際、重傷を負いかねないので、おすすめできません。
車での移動は公共交通機関や徒歩よりも手軽で疲れにくいもの。妊婦にとっておなかの張り(子宮収縮)につながる疲労は大敵なので、疲れずに移動できるのはいいことですが、運転に際し妊娠中の集中力の低下や、事故のリスクも十分に考慮していただきたいところです。

妊婦さんがいる職場の上司は、産前休業前のスケジュールを早めに確認し、業務を調整するなどの配慮が必要!

妊婦さんがいる職場の上司は、産前休業前のスケジュールを早めに確認し、業務を調整するなどの配慮が必要!

産前休業前の業務調整についても早めに相談しておけるといいでしょう。妊婦健診も、妊娠初期・中期は4週間に1回のペースですが、妊娠後期には2週間に1回と頻度が増えていきます。また、遠方へ里帰りして出産を行う場合は、産前休業に入る時期を早めることも。
いつ頃からどれくらいの業務調整が必要になりそうか、あらかじめ本人と確認しておくと安心です。「お休みに入るまではきちんと組織に貢献したい」と思っている人もいるので、本人の意思も確認・尊重しながら今後の計画を立てるといいでしょう。その上で、休業後に職場復帰できるのか、退職するのかを確認し、必要であれば人員補充などの検討を。

妊婦健診とは?頻度やタイミングを知っておき、必要であれば勤務時間の調整を。

妊娠すると、定期的に「妊婦健康診査」(妊婦健診)を受けるようになります。厚生労働省は標準的な受診回数を14回としていますが、これはあくまで目安。妊婦本人や赤ちゃんの状態、病院の方針などによって変わってきますので、医師や助産師の指示通りに受診することが大切です。

<妊婦健診の頻度>

  • 妊娠23週(妊娠6カ月)までは、4週間に1回
  • 妊娠24〜35週(妊娠7〜9カ月)までは、2週間に1回
  • 妊娠36週(妊娠10カ月)以後出産までは、1週間に1回

ただし、医師がこれと異なる指示をしたときは、指示に従った受診時間確保が必要となります。

健診では母体と胎児の健康状態の把握や、必要に応じて血液検査や保健指導などが行われます。
なお、多くの自治体で費用の一部を助成してくれる制度があります。
妊婦健診のため勤務時間の調整なども必要になることがあるかもしれませんが、妊娠中に必要な受診であることをご理解ください。

参考リンク:
厚生労働省「"妊婦健診"を受けましょう(リーフレット)」

最近は、法律とは別に社内規定や働くプレママ・ママを支援する制度をいろいろと設けている会社が増えています。自社にも独自の制度はないのか、その辺りもぜひ人事・総務部に確認を!

こちらもあわせてお読みください。
07-《法律チェック》働く妊娠中の女性を支える法律をチェックしよう!

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