「労働時間を減らす」というと、「売上が減ってしまう...」と考える経営者は多いかもしれません。しかし、リクルートスタッフィングが過去約10年分のデータを洗い出すと、「営業成績と労働時間に相関は見られない」ことが分かりました。
それならば「時間あたりの生産性」を重視しよう、ということで、同社では2013年2月から「スマートワーク」の推進が始まっています。「スマートワーク」の定義は、限られた時間の中で、賢く・濃く・イキイキと働くことで、 最大の成果を出すこと。
スマートワーク推進担当だった松野あゆみ氏によると、同社では社長から 「働き方の変革が最大の経営戦略」と役職者以上に説き、営業担当役員に売上とスマートワーク推進の両方に責任を持たせる、 「トップコミット」の体制を作りました。さらに社員への浸透を図るため「働き方のルールを変えます」と、 営業担当役員が自身で全国を行脚したと言います。
「今までは終わらなければ延長するという野球のルールでやってきました。 これからは時間内で勝つというサッカーのルールに変えますよ、とメッセージしました」
こうした活動の結果、組織は大きな変化を見せました。 1日あたりの労働時間が2年で3.3%削減できただけでなく、時間あたり売上も4.6%の伸びを見せました。 これは派遣マーケットの平均成長と比較しても、それを上回る推移です。
深夜労働も86%、休日労働も68%と大幅に削減されました。 その結果、2014年度の女性従業員の出産数が、2010年度と比べて1.8倍まで増加したといいます。
限られた時間で最大の成果を出す「スマートワーク」 リクルートスタッフィングにおける導入の現場を解説