
1989年に入社し、現在は「サステナビリティ推進室」の責任者を務める菊地明重。これまで、マーケティング局・ICTソリューション局・サステナビリティ推進室と、多岐にわたる組織のマネジメントに18年取り組んできました。その管理職としての転機は、キャリアの中盤に敢えて経験のない領域のマネジメントに飛び込み、挑戦した経験にあったと言います。
慣れた環境で仕事を進めるなか指摘された「成長していない」という言葉
― 菊地さんは1989年にリクルートに入社されたとのこと。なぜ、リクルートだったのでしょうか?
菊地:学生時代のアルバイトがきっかけです。それまで経験したアルバイトと異なり、リクルートでは「アルバイトだから」なんて言わずに、若い責任者がちゃんと頑張った人を見て評価してくれる。そして役職や性別にかかわらず、人として尊重し、期待し、発言を認めてくれる。「私が私のままでよいと思える会社はここだ」と思えました。
実は入社当初は、数年で辞めるつもりでしたが、次々と多くの機会を与えてもらうなかで、その感覚が強い確信に変わっていきました。結局、気づけば30年以上たった今もここにいます。
― 多くの機会…。まさに入社後は、多岐にわたる部署において、さまざまな業務とマネジメントを経験されています。そうしたキャリアを歩むようになったのは、なぜでしょうか?
菊地:経歴からはさまざまな職種を経験しているようですが、実はキャリアの前半は、ほとんどマーケティング局(マーケティング戦略やブランド管理を担当する部署)での経験です。
メンバー時代からさまざまな業務を担当していて、市場調査・雑誌の流通企画・戦略統括…とそれぞれの点の経験が線でつながっていくうちに、自分が仕事全体から細部の現場業務まで把握できているという自負ができ、部長職に任用されてからも、経験則から直感的に多くの判断ができていました。
一見、順風満帆でしたが、ある日、メンターである役員からハッとする言葉を投げかけられて…それを機に、キャリアの後半からは、敢えて新たな領域の組織マネジメントに挑戦するようになっていきました。
― どんな一言をかけられたんですか?
菊地:「ここ数年、全く成長していないんじゃない?」と、衝撃的な一言をいただきまして。
今振り返ると、それまでのキャリアを形成していた仕事は、自ら獲得しに行ったものではなかったんです。いわばコンフォートゾーンに留まっていたことを自覚し、正直なところ当時の環境の居心地の良さも捨てがたい一方、その状態が自分のゴールだとは考えられなかったので、「今の環境から抜け出して、もっと自分を成長させたい」と腹を決めました。そこで飛び込んだのが、全く知識のなかったICT部署(情報技術やシステムの管理・運営を担当する部署)でした。