労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏は、「フルタイムワーカーでなく、オーバータイムワーカー」と日本の正社員のことを評しました。日本の正社員は、年間労働時間が約2000時間と高止まりしており、これを男性ホワイトカラーに限定すると、約2300時間に跳ね上がる結果になっています。
その内訳を見ていくと、12.5%は「週60時間以上」働いています。これは、世界保健機関(WHO)が「過労死の危険性がある」としている働き方です。世界的に見ても日本は、マネジャーも一般社員も総じて「長時間労働」である現状となっています。
それでは、長時間労働と利益率には相関性があるのでしょうか?日経キャリアNETの調査によると、長時間労働と利益率には「何の相関もない」のだとか。むしろ労働時間が長いと、社員の転職意向が強くなってしまったり、仕事満足度が低くなったりといった悪影響が大きくなってしまいます。
さらに、時間をかけた分だけ利益が上がり続けるビジネスは、人件費の安い国へ流れ、日本では減少していきます。日本は「時間以外の資源」を元手にするビジネスを模索する必要に迫られているのです。
「時間以外の資源」、すなわちアイデアやネットワークなどを生かした付加価値の高い仕事をするには、生産性を高めつつ、労働時間を減らすことが重要だと、リクルートワークス研究所の石原は説明します。
「取引先が海外なので時差に対応する必要がある」「職場の雰囲気が帰りづらい」「会議が多く、時間も長い」――。2015年11月に開催した「iction!働き方改革セミナー」では、そうした日本企業にありがちな問題をどのように解決したら良いか、石原が具体的にアドバイスしました。
残業できない人も力を発揮する組織に 働き方の変革に求められる「インクルージョン」
その会議は本当に必要か? 働き方を改革するために考える生産性向上の方法
ホワイトカラーの時短研究
http://www.works-i.com/research/2014/jitan/