「辛かったら助けてもらえばいいし、辛そうだったら助けてあげればいい」声をかけることをためらう日本人は、自ら挑戦しづらい環境を作っているかもしれない。
あるときは、オランダ・アムステルダムにも治療院を展開する柔道整復師・鍼灸マッサージ師。あるときは、日本最大級のダンスコンテストでファイナリストに残るストリートダンサー。あるときは、ウェルネス領域のWebサービスを手掛ける経営者。この "三足" のわらじを履き、世界で活躍する人物が岩井隆浩さんだ。
この多様な経験のなかで、岩井さんは幾度も海外へ渡り、そこでの仕事や暮らしを通して自らの働き方から生き方までをグローバルで活躍できるスタイルへと変容させていった。今回は、彼の視点からみた「日本」を聞いた。
「手に職」を起点にグローバルへの意識を
いくつもの側面を持つ岩井さんが、なりたい職業として最初に出会ったのは治療家という仕事だった。この道を志したのは幼少期。家族で通っていた治療院の先生に憧れたことがきっかけだった。
「小さい頃からお世話になっていた治療院の先生がとても素敵な人だったんです。真剣に治療をしつつ、ダジャレをいいながら楽しませてくれる。院内の雰囲気がいいだけでなく、街の中でも地域の人と明るくコミュニケーションをしていました。たくさんの人に頼りにされて、商売としても潤っていたはず。こんなふうに仕事ができたらいいなという想いが、今の仕事につながっています」