動画で学ぶモデリング訓練が、「見て覚えろ」の左官の世界を変えた。 昭和の職人と令和の若手が混ざり合う新しい現場の作り方【GOOD ACTION】
2020年03月10日 転載元:GOOD ACTION(リクナビNEXT)
取り組みの概要
従来の左官業界にあった「見て覚える」「技術は盗むもの」という育成方法の常識を覆し、名人が壁を塗っている動画を手本にして、その動きを完全に真似することで塗り方を覚えていく独自のトレーニング方法を導入。これを研修の導入編として行うことで、現場に出てからの成長も早まった。 かつては一人前の職人なるまでの期間が人によってバラバラだったが、現在は見習い期間を「4年」と明確に設定。見習い期間の終了を意味する「年明け」(ねんあけ)のタイミングでは家族も招いた披露会を実施し、見習い期間中の学びや仕事の模様を収めたフォトブックをプレゼントしている。 キャリアパスが明確になったことで定着率が向上。20年前は見習い期間の定着率が30%にも届かない状況だったが、現在では80〜90%と大きく改善された。
取り組みへの思い
左官の仕事に魅力を感じて入ってきてくれる人へ、明確な方針のもとでトレーニング環境とキャリアパスを提供したい。やる気がある人の背中をちょっと押してあげられれば職人の世界へ招ける。そのための努力は惜しまない。
受賞のポイント
1.独自のトレーニング方法を導入してOJTの概念を塗り替えた
2.「見て覚える」という常識を覆して新たな風土を醸成した
3.見習い以降のキャリアパスを明確にして定着率を向上させた
「仲良く一緒に成長していく世代」に適したトレーニング方法とは?
「左官業の見習い期間」と聞くと、どんな光景を思い浮かべるだろうか。いかにも厳しそうな熟練職人の隣で、若手が命じられた雑務をこなしながら黙々と技術を見て盗む――。そんな、ありがちなシーンを原田左官工業所は変えた。若手が黙々と見て学ぶのは「名人の動画」。モデリング訓練と呼ばれる独自のトレーニング方法で、この会社は業界の常識を塗り替えた。