点描:揺れ動く若者のキャリア
就職活動中の20代の女性から、こんな相談を受けたことがある。「就職活動で会社をまわればまわるほど、自分にフィットする会社がわからなくなりました。働き方、待遇、理念、仕事、自分なりに考えていることはありますが、自分にフィットするかと言われると不安で情報を集めてもわからず、万策尽き果ててご連絡した次第です」。
とある金融機関に勤める20代の男性は、「ずっといるつもりはないし独立したいと思っており、数年前から仲間と計画を練っているんです」と語っていた。しかし翌年会った際にはそんな素振りもなく、不思議に思い彼の独立計画について聞くと「いろいろ話を聞くと、コスパが悪いような気がしてやめました」。
2度の転職を経て現在は不動産の事務職をしている20代後半の女性。「転職先選びは見栄え重視だった」そうだ。「好きなことというよりは、『どこで働いてるの?』と友達とか先輩に聞かれたときに、言えば『あ〜』と言われる会社を選びました」。「親も近所に自慢できてたし、親孝行」だと感じていた。しかし最近、「やりたいことを真剣にやるべきなのではないか」と悩んでいるという。
誰もが知っている超大手企業で「転職する若手がとても多い」という話を聞くことは珍しくない。「このままだと、いつまでも自分の名前で仕事できないモヤモヤ感を抱えながら働き続けることになる」、そんな気持ちで職を転ずる若手の声をたくさん聞くことができる。超大手企業で目の前の仕事に黙々と取り組む中で、SNSでかつての同級生が起業したり、副業で活躍をしていたり、メディアに出たりするのを見ることもある。そんなとき、モヤモヤ感は最高潮となる。