近年の新卒採用における「自分探し」の風潮もあり、働くことの「目的」や「意味」についての議論が活発化している。仕事の「有意味感」とは、以下のような感覚を指す。
「自分の仕事が誰かの役に立っている」
「自分の成長を感じる」
「自分の力を最大限発揮している」
「他者との一体感を感じる」
欧米の人事系コンファレンスに出席すると、講演者は度々有意味感に言及する。有意味感を持って働くと仕事へのコミットメントが高まるとして、欧米企業も従業員へ意味のある仕事を提供する方法を模索している。私たち「『働く×生き生き』を科学する」プロジェクトの調査では、有意味感が高いことは、生き生きと働いている人の特徴の1つであった。
有意味感についての研究では、自分の仕事の内容や取り組み方を主体的に変更すると(ジョブクラフティングという)、自身の知識や能力に仕事を合わせられるため、個人と職務が適合していると感じ、有意味感につながると明らかになっている。そして、困難と直面することや職場の人間関係、組織の中で自分の価値を認識していることなど、多くの要因が有意味感を醸成し、社会人経験年数によってその要因が変化することが分かっている。