新卒一括採用、終身雇用を礎とした日本的雇用システムが崩れ始め、転職、起業、副業など働き方の多様化が進んでいる。
他方で、根強い「石の上にも三年」言説や「社員のパラレルキャリアを快く思わない会社」など、新しい働き方を模索する若手は多くの壁に直面している。
今回は、「越境的学習」論など、パラレルキャリア研究の第一人者である法政大学大学院・石山恒貴教授と、リクルートワークス研究所・古屋星斗が、新時代のキャリアづくりの展望を語った。
目次
キャリアづくりのルールが変わった
「1万時間の法則」は「好きなことを1万時間やる」ということ
「小さな行動」がキャリアを拓く
行動は「コスパが悪い」のか?
新時代、若手のキャリアをどう支える?
キャリアづくりの「ルール」が変わった
古屋:昨今、「副業」や「越境学習」「サードプレイス」など、新時代のキャリアに関連するキーワードを耳にするようになりました。キャリアをめぐる新たなコンセプトや考え方が多く生まれている一方で、画一的なキャリア論が通用しない時代に変わってきています。
キャリアを取り巻く変化の中で、"大きな会社に入って勤め上げる"単線型のキャリアパスが若手にとって、説得力を失っていることを痛切に感じます。石山先生は、この現象をどのように捉えていますか。
石山:前提として、「ひとつの会社で勤め上げるべき」や「一度は転職するべき」といった「べき論」は本質的ではありません。若い世代も含め、一つの会社に勤め上げるもよし、副業や転職といった道も良し、選択は自由です。
では、本質的な論点とは何か。それは、「キャリア観」や「仕事への姿勢」が、若い世代と上の世代で違うことでしょう。
定年後の仕事を探す人に、やりがいを感じる仕事は何かと聞くと、怒りだすことがあるそうです。