多様な働き方

ジョブ型雇用の種類と、日本企業が進むべき道 中村天江

キャリア

2020年12月23日 転載元:リクルート ワークス研究所

ジョブ型雇用の種類と、日本企業が進むべき道 中村天江

1 ジョブ型雇用が最良の人事制度なのか?

1.1. 雇用制度の抜本改革

このところ、ジョブ型雇用への関心が急激に高まっている。名だたる大企業が相次いでジョブ型雇用の導入を表明したため、「ジョブ型雇用こそが最良の人事制度であり、日本企業はジョブ型雇用を目指すべき(なのだろうか)」とおっしゃる方にお会いすることが増えている。

また、「ジョブ型」という響きに、聞き手の問題意識やイマジネーションを喚起するものがあるのだろう。最近は、ジョブ型雇用の定義がバラバラなまま、時には誤解したまま、話題にされることも多い。

しかし、後述するように、ジョブ型雇用と、日本的雇用のメンバーシップ型雇用は正反対の仕組みである。日々の生産活動や社員の働き方、賃金・評価制度の根幹である雇用制度を抜本的に転換する影響は極めて大きい。制度改革には労力も時間もかかる。

雇用制度の改革は事業活動と社員への影響が大きいため、本来「最小範囲の改革で、最大効果を出す」ことが強く求められる類のものである。よって、影響範囲が極めて大きいジョブ型雇用の導入は、ジョブ型雇用に転換する必然性があり、本気で改革する覚悟があって初めて取り組むべきものだ。

そこで本稿では、ジョブ型雇用の仕組みについてまとめた後、日本企業がジョブ型雇用を目指すべきかの判断基準について論じていく。

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