多様な働き方

食から見る時代の変化。料理家コウケンテツが気づいた「本当に必要なレシピ」

キャリア

2021年03月05日 転載元:Meet Recruit

食から見る時代の変化。料理家コウケンテツが気づいた「本当に必要なレシピ」

役立つと信じて伝えてきたものが、実はあまり役に立てていなかった。時代の移り変わりとともに「今、本当に必要とされているもの」を見いだした料理家コウケンテツさんの試行錯誤を聞く

生活が変わると、食に対する考え方も変わります── 。

料理家のコウケンテツさんは、さまざまなレシピを提案してきた。肉々しい「男飯」や「韓流レシピ」から「丁寧な家庭料理」、今は「頑張り過ぎない料理」を提案しつつ「食べるだけの人」に向けたメッセージも発信している。新著のタイトルは『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』。いわゆる料理本ではなくエッセイ集で、この数年でガラッと変わった食を軸にした価値観の変容を伝えている。

これには、トレンドの移り変わりだけでなく、働き方やコミュニケーション、社会情勢の変化なども深く影響している。生きることそのものである「食」から見える人々の価値観の変化を紐解く。

男飯、韓流、丁寧な暮らし、簡単レシピ...食の変化と社会の変化

── まず料理家とはどんな仕事なのか教えてください。

僕は、"家でご飯をつくる人のアシスト役"だと思っています。よく「料理人なんでしょ?お店はどこにあるの?」と聞かれるのですが、シェフや板前さんといったプロの料理人の方々は、自らの作った料理をお客様に提供する料理のスペシャリスト。一方で僕の料理家としての仕事は、家庭料理のレシピを考えて紹介すること。そのレシピをもとに実際に料理をするのは、家でごはんを作るみなさんです。

── シェフや板前になりたいと思ったことはないのですか。

いや、ぜんぜんないんです(笑)。そもそもこの世界に入ってきたのは、偶然なんですよ。僕の母は料理家で、家庭料理は僕にとってとても身近な存在でした。子どもの頃から料理をするのが大好きでしたし、これまで経験したアルバイトもほとんど飲食店です。

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