定年後の働き方と聞いてどのような姿を想像するか。そう問えば、今働いている企業で継続して雇用されている姿を思い浮かべる人も多いだろう。
定年後の高齢者は実際にどのように働いているのか。実は私たちはその姿をよく理解していないのでないか。本コラムでは、多くの人が定年後のキャリアへの不安をかかえるなか、その本当の姿を伝えていきたい。
第1回は、年齢ごとの就業形態の変遷をたどることで、定年後に働き方がどのように変化していくのかを見てみよう。
年を経るごとに働き方は変わる
年齢階層別に働き方の変化をとったものが図表1である。
ここでいう働き方とは、就業形態と雇用形態の別を組み合わせたものである。まず、就業形態別に、「会社・団体等に雇われていた」「会社などの役員」「自営業主(雇い人あり)」「自営業主(雇い人なし)」「家族従業者(飲食店・卸小売店・農業等の家族従業者)」「内職」の6つに分ける。さらに、「会社・団体等に雇われていた」人については、「正規の職員・従業員」「パート・アルバイト」「労働者派遣事業所の派遣社員」「契約社員」「嘱託など」の5つに分けている。これらの総計10種類の働き方について、各年代の就業者がどれに該当しているのかを見たのが図表1というわけである。
これを見ると、年齢を追うごとに人々の働き方は変わっていくことがわかる。若年期から見ていくと、18歳から22歳まではパート・アルバイトが就業者のおよそ半数を占める。そして、大学卒業者が社会人になる23歳からは正規雇用者が一気に増える。結果として25歳時点で正規雇用者の割合は就業者全体の63.7%を占め、多数派を形成することになる。この時点でパート・アルバイトの比率は20.4%まで下がっている。