定年後のキャリアにおいて仕事のサイズは小さくなる。人はそうした仕事にどのような意義を見出すのか。そもそも仕事に何を求めるのか。仕事の価値観という側面から定年後のキャリアの実相を探っていく。
現代日本人が抱いている仕事に関する29の価値観
人は何を求めて仕事に向かうのだろうか。もちろん、多くの人が欲するのは経済的安定である。稼がなければ生活できない。収入を得るための手段という側面を否定する人はあまりいないだろう。
しかし、働くことの意味はそれだけではない。働くことを通じ、私たちは有形無形問わず、さまざまなものを得ているのも事実である。仕事に対する価値観を体系的にまとめた研究者がいる。ドナルド・E・スーパーである。彼は、職業価値(work value)を経済的な安定を得ることだけでなく、自分の能力が活用できること、人の役に立てることなど、20の尺度にまとめた※。