皆さんは「労働者協同組合」(ワーカーズコープ)をご存じでしょうか。組合員が出資して学童保育や介護サービスなどさまざまな事業を運営し、自らも労働者として働く組織です。実に40年を超える歴史がありますが、働き方の多様さが増す中、雇用とも自営とも違う「第三の働き方」として、今改めて注目が高まっています。 日本労働者協同組合連合会の古村伸宏理事長は、ワーカーズコープを「自分を削らない」働き方ができる場だと話します。組織の実態や将来性、課題などを聞きました。
働き手の成長、地域貢献を目指す「第三の働き方」
――ワーカーズコープとは、どんな組織ですか。
営利追求ではなく人間としての成長や事業化、地域貢献を目指す人が集まって作る職場です。同じ非営利のNPOなどとの最大の違いは、組合員が出資すること。お金(出資金)と同時に、手(労働力)も口(経営への意見)も出すというわけです。
日本労働者協同組合連合会に加盟するワーカーズコープの事業所で働く人は、2019年度末時点で約1万6000人に上ります。多いのは介護・福祉と子育て関連の事業ですが、このほかにも配食サービスや緑化事業、若者・困窮者の自立・就労の支援などに取り組む団体もあります。