コミュニケーションは、私たちが日常生活を送るなかで、他者や社会とかかわる際の最も重要な活動の1つといえるでしょう。コロナ禍の影響でテレワークに移行して、上司や同僚とのコミュニケーションが変化した人、在宅勤務で家族とのコミュニケーションが変化した人も多いのではないでしょうか。
私たちのコミュニケーションのあり方は、テクノロジーの進展によってかなり様変わりしてきました。例えば、若者はコロナ禍以前から、コミュニケーション活動を部分的にSNSに切り替えていました。ただし、学生が学校で友人とおしゃべりをした後、帰宅してさらに電話で長話をすることは数十年前からめずらしいことではなく、あまり実質的な違いがないような気もします。一方で、最近の様子を見ると、対面でのコミュニケーションが制限されることの影響は大きいようです。孤独を感じたり、途方に暮れたりする人が、学生のみならず働く人にも出てきているとよく耳にします。そこで、私たちが日常行っている対面のコミュニケーションについて、あらためて考えてみたいと思います。
心理学におけるコミュニケーション研究
コミュニケーションについては、言語学や社会学、情報学、脳科学など、心理学以外のさまざまな分野でも研究が進められています。ここでは心理学の研究を紹介していきますが、そのなかでも研究関心によって、どのような場面の、どのような人物間の、どのような目的や機能をもったコミュニケーションなのかが異なります。また、例えば協力関係のように、コミュニケーションが介在している現象を扱う際にも、コミュニケーションそのものは研究対象にならないことも多いのです。