このレビューでは、シニア就労者の心理に焦点を当て、先行研究を紹介していく。
研究では「年齢」というものをどう扱ってきているのか。年齢とパフォーマンス、仕事に対する満足感や動機づけには、どのような関係があるのか。キャリアチェンジを促進する要因は何か。シニアの活躍に職場環境はどのように影響するのか。
これらの研究知見から、シニア層の活躍を考える際の視点をまとめたい。
はじめに
日本では少子高齢化の影響もあり、仕事をリタイアする時機はどんどん後ろ倒しされている。一方で、世界的に見ても、日本のシニアは就労意欲が高いことが分かっている。またこれまでの研究で、働き続けることはシニア層の心身にポジティブな影響があることも確認されている。シニアが長く働き続けることは、社会にとっても、本人にとっても望ましい影響が期待される。
一方で、目の前の現実では、シニアの就労者は問題を抱えているように見える。再雇用されても、仕事が面白くないと感じる人や、やりたい仕事がないと感じる人がいる。組織も、どのような仕事をしてもらうかに頭を悩ますケースがある。このレビューでは、働くシニアの心理に関連する研究を取り上げ、シニアが自らの選択によって働き続け、組織がシニアに十分に力を発揮してもらうためのヒントを探る。