紆余曲折を重ねたキャリアは、どれほど意図され、また偶然に起きたのか。高品質で安価な義足をつくるインスタリムの徳島さんと考える、変化が激しい時代のキャリア論
あの出来事がなければ、いまの自分はなかっただろう──。
人生に大きな影響を与えた「偶然」は、きっと誰にだってあるはずだ。この偶然が、ビジネスパーソンのキャリア形成に大きく関わっていると論じるのが、心理学者のジョン・D・クランボルツ教授が発表した「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」である。
「予期せぬ出来事がキャリアを左右する」「偶然の出来事が起きたとき、行動や努力で新たなキャリアにつながる」「 何か起きるのを待つのではなく、意図的に行動することでチャンスが増える 」という3つの骨子から成り立つこの理論は、目まぐるしく世界の状況が変化するいまの時代に、ビジネスパーソンが頭に入れておくべき道標のひとつではないだろうか。
今回話を聞いた徳島泰(とくしま・ゆたか)さんは、高品質で安価な義足を提供するインスタリム株式会社の創業者だ。徳島さんは、この起業に至るまでさまざまなキャリアを経験している。今回の起業は2回目。その前には大企業もベンチャー企業も経験し、3つの大学・大学院を卒業。また、青年海外協力隊にも従事していた。
徳島さんのように多様なキャリアを歩んだ人は、どれほど計画的に、またどれほど偶発的にキャリアを選んできたのか。計画的偶発性理論を切り口に、変化が激しい時代のキャリアを考える。