「正直言って、余力があります」と語る新入社員
ジェネレーションギャップは人類史上普遍的なものであるそうだが、最近その動きが一層加速したようにも感じる。コロナショックによって多くの分野で「時計の針が10年進んだ」と表現され、これまで薄々気づいていた、ゆっくりと進行していたことが顕在化した。今回紹介する、新入社員が直面する職場の変化もその一分野にあたるかもしれない。
筆者は本年9月~10月にかけて、10社以上の大手企業の新入社員に仕事についてのインタビューを実施した。驚くべきことに彼らの多くが一様に語るのは、「正直言って、余力があります」「ゆるい。社会人ってこんなものなんですね」「学生時代に近くて肩透かしです」といった“持て余し感”であった。入社1年目と言えば「5月病」という言葉もあるが、慣れない社会人生活が始まり、ストレスの高い辛い状況ではないかと想定されてきただけに、この反応には驚いた。また、普段の仕事について聞いたときに、「上司」の話がほとんど語られなかったことも気になった。あえて上司について聞くと「一度も叱責されたことはないです」「理不尽なことを言われたことはありません」。これまでの考えとしては、新入社員においては就職前に想像していた職場のイメージと現実のギャップから、リアリティショックが起こるとされていたが、リアリティショックのもとになるギャップ自体がそれほど存在していないような語り口である。
ここで、いくつかの関連するデータを紹介したい。