これまで、キャリア自律の要因や効能を解明した先行研究はあるが、組織で働く個人がキャリア自律の意味することをどう認識しているかについては明らかになっていないことも多い。そこで、若手・中堅社員が、自律的・主体的にキャリア形成することをどのようなことと認識しているのか、自身が重視することと会社からの期待との間にギャップはあるのか、実現度や希望する程度、会社からの支援の実態などを明らかにすることを目的として、アンケート調査を実施した。
調査から、一人ひとりが思い描く自律的・主体的なキャリア形成のあり方はさまざまであることが確認された。自律的・主体的キャリア形成への意欲は、配置・異動、評価・処遇などを通じて受け取る会社からのメッセージによっても、変化していた。また、会社の目的や理念への共感、情緒的なコミットメントがあれば、自律的・主体的なキャリア形成による転職意識が抑制される可能性も示唆された。