意見の対立を「妥協」ではなく「トランセンド(超越)」していく。平和のための紛争研究から、コミュニケーションと相互理解のヒントを得る。
誰かと意見が衝突したとき、あなたはどのように対立をおさめて、物事を前に進めるだろうか。表現方法を変えたり、妥協点を探したり、根回しをしたり、さまざまな工夫があるはずだ。
対立や衝突が生まれるのは、個人同士や組織内だけではない。組織外、地域、人種、国と、規模が大きくなれば、そのエネルギーは増し「戦争」という形にもなりえてしまう。
こうした争いを不幸なかたちに帰結させぬようどう乗り越えるかを、学問として分析・研究しているのが「平和研究」だ。平和研究を専門とする明治学院大学国際学部教授の高原孝生(たかはら・たかお)先生は、対立や衝突は、むしろ相互理解を促すきっかけや、対立構造を超えて望ましい道を見つける手助けになるという。
平和のために争いや暴力を研究してきた平和研究から、日常的なコミュニケーションを円滑にするヒントを探る。