育児は働く男女の時間をどのように変えるか? 生活時間データでみる「家庭と仕事の両立」 伊川萌黄
子どもの誕生は多くの人が体験しうる大きなライフイベントの一つである。子どもをもつにせよもたないにせよ、育児によってどのように日々の生活が変わるのか、思い悩む人も多いのではないだろうか。特に、「女性活躍」が推進される昨今において、家事・育児と仕事をどう両立させるのか、働き世代の女性にとっては大きなテーマであろう。また、男性の育休取得が政策的にも後押しされている現状において、「家庭と仕事の両立」は女性だけのテーマではなく、男女間にどのような差が存在するのかを理解することは重要である。 そこで本コラムでは、「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用いて、第一子誕生前後の3年間における各時点で「就業していた人」を対象に、どのぐらいの時間を家事・育児・労働に費やしていたか、また、男女差がどのように存在するのかをみていきたい(対象サンプルの抽出条件詳細は注1を参照)。
第一子誕生で広がる家事・育児時間の男女差
まず、家事・育児時間についてみてみよう。図1は、横軸に第一子誕生前後の時間軸をとり、縦軸には就業日・非就業日を含めた1日当たり平均の家事・育児時間をとったものである。第一子誕生前の家事・育児時間は、女性平均が約2時間、男性平均が約1時間で、男女差は1時間程度である。第一子誕生年には女性平均は6時間半、男性平均は2時間半となり、男女差は誕生前よりも大きい4時間であった。第一子が1歳のときに女性の家事・育児時間は8.2時間と最も長く、男女差は5時間半となった。