「これからの時代のマネジメントはどうあるべきか」―いつの時代も企業・組織で働く人の関心を集めるテーマである。さまざまなマネジメントやリーダーシップのあり方が広く議論されているが、今回は従来の「実行型マネジメント」と新しいタイプの「自律共創型マネジメント」の“両立”に注目し、その意義や組織への実装のポイントを探る。
求められる環境変化対応 新価値創造への課題
VUCAの時代であるといわれて久しく、また新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、われわれを取り巻くビジネス環境はこの数年で劇的な変化を遂げた。
そのようななかで、弊社が2022年に実施した「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査」では、企業の人事担当者の考える組織課題の第1位は「新価値創造・イノベーションが起こせていない」となっている。先の読めない急速な変化が起こり得る社会のなかで、今までの延長線上にはない新価値の創造に取り組む人材の獲得・育成、そして組織づくりが、企業にとって重要課題になっていることは想像に難くない。
一方で、そうした新価値創造への動きのキーとなるミドルマネジャーの問題意識はどこにあるだろうか? 同調査でも「管理職として重要だと考えている役割は何か?」という問いには、「メンバーの育成」「担当部署の目標達成/業務完遂」「業務改善」という項目が並び、どちらかというと短期的な成果を上げることに注力せざるを得ないミドルマネジャーの実態が浮かび上がってくる。