小さな変化を見逃さない―定点観測~リモートワーク下における活力ある職場づくり第6回~
前回は、リモートワーク下におけるチームワークづくりについてお伝えしました。その核心は「マネジャー自身がチームワークを欲すること」、そして「重たい荷物を背負うときにはまず土台づくりから」ということ。そのためにも「メンバーの交流の欲求を感じたら即対応する」ということをお伝えしました。
本連載ではこれまで「安心感の土壌づくり」「メンバーの持ち味を味わう」「チームワークの土台づくり」について、その核心をお伝えしてきましたが、読者の皆様のなかには、「リモートワーク下においてはそういう機会が少なくなっているんだよ」と感じている方もいるのではないでしょうか? 確かに、メンバーと直に接する機会はかなり減っています。ただ、こういう環境であっても、原則に従い、マネジメントしているマネジャーもいます。
では、他のマネジャーができないことを実践できる人はどこが違うのでしょうか? それが今回のテーマです。
さて、今回もエピソードから見てみましょう。
”行動管理を徹底したら、雰囲気が悪くなった”
今回の舞台は、医療製品を作っている会社の営業部門です。これまでは病院に足しげく通うことで医師からの信頼を獲得し、売り上げを上げてきましたが、コロナ禍となり、営業成績が低下していきました(ちなみに、出社タイミングは自分の都合で決めるという出社形態です)。
もともと、この業界では、突発的な対応が常態である医師に事前のアポイントを取ることが難しいため、空き時間をねらって病院で待ち続けることが大事な営業行為でした。ところがコロナ禍になり、病院への訪問が原則禁止になります。そこで、電話やメールを送って情報共有・交換、アポイントを取ろうとするのですが、ただでさえ忙しい医師はメールに目を通すことすらないということが頻発し、営業メンバーの営業活動が停滞していったのです。