イントロダクション
先日来英国で世界最大規模で週休3日制が試験導入されたことが話題になっているが、フランスでは第2都市であるリヨン市が試験導入を正式に決定するなど、フレキシブル・ワークへの取り組みがますます進展しており、週休3日制への注目が高まっている。フランスでは、コロナ危機の状況が落ち着き始めてから、週休3日制のフィジビリティを問うために試験導入する企業や、実際に制度を導入する企業が400社を超えた。そして、賃下げなし・労働時間延長なしに労働生産性を改善することで週休3日制を実現する「フレンチ・スタンダード」に、世界の注目が集まっている。本コラムでは、フランスにおける週休3日制に関する状況をレポートする。
時代は「ニューノーマル」へ
現代⼈は明らかにワークホリックである。⼈⽣の⼤半を労働に注ぎ「墓場を⽴てるために働いている」と例えられているほどだ。2019年のQapaの調査(※1)によると、休暇が多いことで知られるフランスでさえ、フランス⼈の67%は「休暇中も仕事のことを考えている」、また63%は「休暇中もメールに対応したことがある」と回答している。
コロナ危機以降、テレワークが一般化されたことで、従業員側は自主的に仕事に取り組むようになり、管理職側はそのような従業員を信頼するといった変化が起こった。オフィスにおけるプレゼンスよりも生産性や結果が重視されるようになった。仕事にどれだけ時間を費やしたかではなく、効率性を重視する「ニューノーマル」な働き方がスタンダードとなった。一方、従業員側はコロナ危機を経験してから、従来の働き方を見直し、ワーク・ライフ・バランスを向上したいと考えるようになった。従業員はテレワークの回数を増やし、オフィス出勤を最低限に留める、また労働時間のウェイトを減らし、趣味や家族との時間を充実させる傾向が顕著になるというパラダイムシフトが起こった。
フランスでは、週休3⽇制は「ニューノーマル」時代の働くリズムを緩和し、ワーク・ライフ・バランスの両⽴を改善し、労働市場全体の底上げに貢献することが可能とされている。こうした観点から、週休3⽇制が現在の週休2⽇制に取って代わる⽇も近いと考える人が増えた。