多様な働き方

マネジメントの拠り所~リモートワーク下における活力ある職場づくり第7回~

職場マネジメントテレワーク

2023年09月14日 転載元:リクルートマネジメントソリューションズ

マネジメントの拠り所~リモートワーク下における活力ある職場づくり第7回~

この連載では、これまでもリモートワーク下における活力ある職場づくりと題して、その考え方とさまざまな実践原則をお話ししてきました。 あらためて見つめてみると、どの原則もこの時代になって新たにつくられたものというよりは、以前からあった原則が実践されるうちに、時代の変化に合わせてブラッシュアップされてきている“だけ”ということに気づいたのではないでしょうか? しかし、いざ実践しようとすると、マネジャーである皆様、全社のマネジメント力向上を企画する人事部門の皆様に対し、さらなる負担を強いるものです。なかには“そこまでやる必要がある?”とお感じの方もいらっしゃることでしょう。
では、実践する人と、しない人の差はどこにあるのでしょうか? それが、最終回である今回のテーマです。


正解がない時代に求められるもの

この連載では、“リモートワーク下”という変化の時代に合わせたさまざまな原則をご紹介してきました。しかし、いくら原則を知ったところで、実践されなければ意味はありません。

参考までにあるお話を紹介します。前回の、定点観測を行い、職場を活性化させたマネジャーのエピソードの続きです。あのエピソードを聞いた際、「どうして、この忙しいなかでそこまでやろうとしたんですか?」と尋ねたところ、マネジャーはこんなことを言ってくれました。

「実は私も同僚に聞いて真似し始めたのですが、別の同僚からは“よくそこまでやるね。そこまでやらないといけないの? 会社や組織の方針をメンバーがやらないんだったら、ちゃんと目標を伝えて、メンバーの目標に落としこんで、できる仕組み・方法を考えることがマネジャーの役割だと思うよ” って、言われたんですよね。最初は私もそう感じていたので、そう言われたときに、なんでこんなに必死になって取り組んでいるのか、考えてみました。すると、1つ思い出したことがあったんです。

それは、自分が入社したときに配属された職場のことでした。新人時代、営業に配属されて右も左も分からないまま好き勝手やっては失敗ばかりしていたのですが、その都度上司がうまく軌道修正してくれて、そのうえ“お前がやりたいことをやればいいんだ”と言ってくれました。

お恥ずかしい話、当時は“上司なんだから当たり前だろ!”としか感じていなかったのですが(笑)、今にして思うと相当上司は関係者に手を回してくれていたり、辛抱してくれていたりしたのだと思うんです。自分はあのようなマネジャーになりたかったし、あのように一人ひとりが思い切って働ける職場をつくりたいと思っていたんです。だから、自分も辛抱できたのだと思います」

過去の体験・経験によって、このマネジャーのなかに喚起されたものは一体何でしょうか? それは自分がマネジャーとして何を実現したかったのか、マネジメントをしていくうえで大切にしたかったもの。いわば、マネジメントをしていくうえでの「価値-目的」です。それらがこのマネジャーの実践に向けた背中を押し、苦しいときの拠り所になったのでしょう。

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