「中途採用者は組織に埋もれる」を克服する ― 一気にミドルシニア10人採用し、面で変える ―(森下仁丹)
医薬部外品の「仁丹」で広く知られている森下仁丹。現在は、仁丹で培った製丸技術を応用した「シームレスカプセル」を食品・医薬品・化粧品業界に提供する一方、医薬品やサプリメント、食品の企画・製造・販売なども手掛けている。 同社は2017年、「第四新卒採用」と銘打って、40~50代を中心としたビジネスパーソンを対象に採用活動を展開。この試みはさまざまな媒体で何度も紹介され、大きな話題を呼んだ。あれから6年が経過した今、第四新卒採用は事業にどのような影響をもたらしたのか、人事担当者の北川順一郎氏に聞いた。
欠けていた40~50代世代を補う「第四新卒」採用
──まずは「第四新卒」という言葉の定義を教えて下さい。
北川 大学などを卒業したばかりの人は「新卒」、卒業して企業に就職したが3年以内に退職した人は「第二新卒」、大学院博士課程修了で就労していない人は「第三新卒」と呼ばれます。これに対して「第四新卒」とは、社会人として十分に経験を積んだ後も仕事に対する情熱を失わず次のキャリアにチャレンジする人材を指す、当社オリジナルの呼び方です。
──森下仁丹では2017年に第四新卒の採用を行い、10人の方が入社されたと報道されています。なぜ、第四新卒を採用しようと考えたのでしょうか。
北川 当時、40~50代のマネジメント層が圧倒的に不足していたからです。創業以来の主力商品だった銀粒仁丹ですが、1980年代に他社のガムやミント菓子などに押され、ニーズが右肩下がりになりました。そして2000年代初頭になると売り上げは大きく落ち込み、全社の業績も下がった結果、幹部候補を含めた人材が少なからず流出したのです。その後は業績が回復し従業員数も増えたのですが、2010年代半ばになると管理職を務められる40~50代の社員が足りなくなりました。それが、第四新卒の採用に取り組んだ最大の理由です。