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【フランスの働くを考える 第9回】大転機を迎えたフランスのテレワーク

テレワーク

2024年03月05日 転載元:リクルート ワークス研究所

【フランスの働くを考える 第9回】大転機を迎えたフランスのテレワーク

テレワーク事情、義務化から3 年⽬で⼀変

新型コロナウィルス感染症のパンデミック下、フランス政府はテレワークの義務化を余儀なくされたが、「テレワーク熱」はその利点を極端に持ち上げた節がある。2021年時点では、60%の管理職が定期的にテレワークを⾏っており、求⼈求職サイトでは、優秀な⼈材を求め「ハイブリッドワーク」や「100%テレワーク」といったキャッチコピーが多⽤されていた。

ところが今年に⼊り、その様相は⼀変した。9⽉14⽇、フランスの3⼤新聞の1紙ル・フィガロの⼀⾯に「テレワークに失望した企業たち」と題した特集が掲載された(※1)。全3ページにわたり報じられたのは、2022年には週平均3.6⽇であったテレワーク⽇数が、現在は僅か0.6⽇となり、「100%テレワーク」を提供する企業は、2022年の9.8%から、2023年には3.4%にまで減少した(2023年のLinkedInの統計データ)。マスク離れとともに、「テレワーク熱」は過去のものになったようである。

有名企業は次々とテレワークの打ち切りや縮⼩を宣⾔している。Superprof CEOのウィルフリード・グラニエ⽒(※2)は、今年1⽉、200⼈以上いる全従業員のテレワークを全⾯的に中⽌し、100%のオフィス勤務を義務化したことが⼤きな波紋を呼んだ。広告⼤⼿のピュブリシスは、「出社⽇数が週3⽇に満たない場合は、昇給やボーナス、昇進の機会に⼤きな影響が出ることを覚悟すること」と従業員を脅すかのような通達したことが注⽬を浴びた。


「集団⽣産性」へのインパクト

経済協⼒開発機構(OECD)の⽣産性に関するグローバル・フォーラムは、25カ国の管理職と従業員を対象に、テレワーク時の⽣産性と個⼈の満⾜度を調査(※3)している。 「今後テレワークがより普及されることを期待するか」との問いに「はい」と回答した従業員は70%、雇⽤者は35%であった(図表)。また、Ifo Institute とEconPol Europeの調査(※4)では、雇⽤者は、テレワークの頻度を今後はさらに縮⼩したいと考えていることが明らかになった。テレワークを労働者の「権利」と主張し、今後も定期的に続けたいという従業員との間で緊張状態が続いている。

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