「一緒に働きたくない」メンバーからの苦言をきっかけに考え直した私のマネジメント
2024年05月23日 転載元:Recruit Corporate Blog
リクルートでのマネジャー歴10年目。周囲からの信頼も厚く、いつも冷静に客観的に物事を捉えていると評判のリクルート従業員の岡田和生。しかし、そこまでには数々のトライ&エラーがあったとか。いつも冷静に客観的に物事を捉える方法を聞きました。
「一緒に働きたくない」と 言われてようやく考えた
2014年にマネジャー任用され、営業と企画それぞれの組織のマネジメントを経験しました。しかし、いずれも苦戦しました。自分の言ったことがメンバーにうまく伝わらず、同じような業務トラブルが頻発したり、自分よりも経験の長いスタッフとうまく協働できず、スケジュールの遅延が多発。ですが、当時の私はそんなトラブル続きでも「きっとそのうち良くなるだろう」とどこか他人事でした。
ところがある日、「岡田さんと一緒に働きたくない」とメンバーから直接言われました。ショックだった一方、「私のことが好きか嫌いかはさておき、仕事なのになぜやらないのだろう?」と思ってしまったのです。今思い返すと、そんなふうに考えるなんて自分、大丈夫か? という話ですが、当時の私にはメンバーの言葉の背景が理解できず、ただモヤモヤするばかり。私の様子を見ていた周囲のマネジャーや部長からは心配され、そんな自分を情けなく思うと同時に、メンバーへ向き合うことが少し怖くなっていきました。
業務時間の8割を会話にして見えてきた違う景色
そんな折、関西で新しく立ち上がった組織を任されることに。50名近くいるメンバー全員が新人の組織。自分のマネジメントのあり方を抜本的に見直さなくてはいけないと感じていた私は、これを機に思いきって1日8時間のうち、80%をメンバーとの会話に充てることに決めました。
営業や内勤スタッフ、チーフなどいろいろな立場のメンバーたちと重ねた会話は、いつ、何回、何分、どんな会話をしたか? を立ち話も含めて全て記録。1on1ミーティングの指南書や組織開発、リーダーシップやマネジメントに関する書籍は、目につけばすがるようにとにかく読む。そんな生活を続けるうちに、これまでとは違う景色が見え始めました。
「自分と他者は違う」という当たり前の知識を、実感を持って理解できるようになったのです。メンバーの考え方や意見は多様であり、人によって、役割によって、状況によって、日によっても発言や考え方は日々変化する。役割、置かれている状況、究極的には晴れの日と雨の日でも異なる…。皆が違うことによるマネジメントの難しさはあるけれど、それはどうしようもないことで、むしろ違うことや日々の揺れを前提として、皆で組織として成果を出せるよう、やりくりする。それがマネジャーの仕事だと心底理解できたのです。「人は、常に変化している」とメンタルモデルを転換した後は、物事がスムーズに進むようになり、マネジャーとしても少しずつ頼ってもらえるようになりました。