「「年◯◯万円以上働いたら扶養から外れてしまう」「夫の扶養内で働きたい」など、扶養控除についての声を耳にする機会は少なくありません。扶養控除とは、法律で定められた要件を満たす親族を扶養している人が、所得税や住民税を一定の割合で軽減できる所得控除制度です。
混同しやすい配偶者控除や配偶者特別控除との違いや、社会保険上の扶養との違いなどとともに詳しく解説していきます。扶養控除について知りたい方は、最後まで読んでぜひ参考にしてください。
- 扶養控除とは
- 税法上の扶養控除、社会保険上の扶養の違い
- 税法上の扶養とは
- 社会保険上の扶養とは
- 配偶者控除・配偶者特別控除との違い
- 配偶者控除の適用条件
- 配偶者特別控除の適用条件
- 扶養控除の対象
- 扶養控除は扶養親族の年齢により種類が異なる
- 控除対象扶養親族
- 特定扶養親族
- 老人扶養親族
- 社会保険上の扶養について
- 扶養者の社会保険に被扶養者が入ること
- 直近の法改正
- 被扶養者の年収の壁について
- 103万円の壁
- 106万円の壁
- 130万円の壁
- 150万の壁
- 扶養控除の申請方法
- 年末調整での申請方法
- 確定申告での申請方法
扶養控除とは
扶養控除とは、16歳以上の子どもや親など、扶養控除の対象となる親族を養っている場合に受けられる制度で、医療費控除や社会保険料控除などの数ある所得控除のうちの一つです。
要件に該当する扶養親族がいる場合に適用され、その親族の年齢や同居の有無等によって控除額が異なります。
扶養控除の目的は、納税者の税負担を軽減することです。養っている親族がいる場合とそうでない場合では、経済的な負担が大きく異なります。このような納税者の事情を考慮し、扶養している人数に応じて、家計を支える扶養者の負担を軽くしているのです。
税法上の扶養控除、社会保険上の扶養の違い
一概に「扶養」といっても、税法上と社会保険上では内容が大きく異なります。本章では、両者の違いを説明していきます。
税法上の扶養とは
「税法上の扶養とは、前述のとおり、扶養する家族がいる場合に納税者の所得税や住民税が控除される制度を指します。 税法上の扶養に入って控除を受けられると、納税者(=扶養者)の税負担が軽減でき、扶養に入った被扶養者自身の所得税や住民税も免除または減額されます。
ここで述べる「扶養」とは、納税者が配偶者や子ども、親などを経済的に支えることです。
税法上の扶養に入るには、被扶養者の年収が103万円以下(合計所得48万円+給与所得控除55万円)という条件があり、103万円を超えると対象外となります。
ただし、扶養控除の対象とされる「扶養親族」に配偶者は含まれていません。配偶者に関わる控除は、扶養控除とは別に「配偶者控除」「配偶者特別控除」という制度が設けられており、これらの控除は上記の扶養控除とは別のものです。
「配偶者控除」「配偶者特別控除」については後ほど詳しく解説します。
社会保険上の扶養とは
社会保険上の扶養とは、会社員や公務員である主たる生計者(扶養者)の社会保険の被扶養者になることです。扶養者の社会保険に加入することで、被扶養者は社会保険料(健康保険料・厚生年金)を納める必要がなくなります。
社会保険上の扶養に入るためには、被扶養者の年収が130万円未満であることが必要です。