2023年、弊社は、新たなキャリア研修「キャリアアクションプログラム」の提供を始めました。その背景には、多くの企業が社員にキャリア自律を求めている一方で、キャリアに対して不安を抱えながらも、キャリア形成につながる具体的な行動は起こせていない、といった若手・中堅社員が増えているという課題認識があります。なぜ今キャリア研修を刷新したのか。どのような特長があり、何を目指すプログラムなのか。キャリアアクションプログラム開発チームのメンバーが詳しく解説します。
対談者
●西山 浩次(にしやま こうじ)
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRD統括部 トレーニングマネジメント部 特任研究員
●市橋 直樹(いちはし なおき)
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRD統括部 トレーニングマネジメント部 研究員
- キャリアに対する不安を抱えている若手・中堅社員が多い、 一方で具体的にキャリアのために行動している人は少ない
- 情報が多すぎるうえに変化が激しく不確実であることが、「キャリア」を考える際のハードルを上げている
- 充実したキャリアにつながる「行動の後押し」をするプログラム
- 「フォアキャスティングアプローチ」などの思考法・理論をちりばめている
- 「手近なチャンス」を生かして一歩を踏み出し、キャリア形成につなげる
- キャリア自律行動は組織コミットメントにもつながる問題解決力を高める4つのポイント
キャリアに対する不安を抱えている若手・中堅社員が多い、 一方で具体的にキャリアのために行動している人は少ない
近年、キャリアに関する情報がますます多くなっています。スマートフォンやPCを使っていると、日々さまざまな情報が目に入ってくるようになりました。例えば、SNSを見ているだけで、転職に関する情報や、友人たちのキャリア状況、理想的な働き方をしているインフルエンサーの投稿など数多くの情報が得られます。友人が転職したと聞けば、自分も転職した方がよいのだろうか、とつい不安に感じることも珍しくありません。
一方で、多くの企業が社員に「キャリア自律」を求めるようになりました。社員の主体的かつ自律的なキャリア形成を期待して、自己申告制度、社内異動公募制度や選択式研修制度などを整える企業も増えています。1on1などを活用して、マネジャーが若手・中堅社員のキャリア形成を支援する事例も多く見られるようになってきました。
そうした状況のなか、2023年にキャリア開発行動に関する調査(1711名)を弊社で行ったところ、自身のキャリアに関して不安を抱えている若手・中堅社員が多い一方で、具体的にキャリアのために行動している人は少ない、ことが分かりました。 また、多くの人事の皆さんからは、手挙げ式の社内異動公募制度や選択式研修制度などの機会を十分に活用してもらえないことに悩んでいる、ということもよく耳にします。
早期に見切りをつけるような離職が増えているといったことも伺います。人事として特に避けたいとよく伺うのは、本当は社内に魅力的な業務や機会があり、手を挙げればチャレンジしたり異動したりできる可能性があるのに、そうしたチャンスに気づかないまま離職してしまい、離職後に本人が転職を後悔してしまうようなケースです。私たちは、こうした離職を「もったいない離職」と呼んでいます。最近、もったいない離職は多くの企業で人事課題の1つになってきています。