生成AIによる仕事と働き方への影響の現状と未来(前編・現状編) ~定量調査と生成AI活用者へのインタビュー調査を通じて見えてきたこと~
生成AIの技術の進化は目覚ましく、生成AI関連の商品・サービスが次々と発表される一方、私たちリクルートワークス研究所が実施した「1万人調査」によると、就業者のうち生成AIを活用している方は約8%(※1)という状況であり、個々人が新しい技術を使ってみたり、適応していったりするスピードとの間には差がある。生成AIを多くの人が使うことができる状況になって1年半。この間生成AIを活用してきた人は、生成AIに対してどのような実感を持ち、生成AIが働く人や組織に与える影響をどのように見ているのだろうか。新技術を使っている人だからこそ見える世界があるのではないか。
リクルートワークス研究所は、「1万人調査」の結果を受けて、「生成AI活用者の考える仕事や組織の現在と未来に関する調査」(以下、「本定量調査」)を追加で行った(※2)。なお、「生成AIを使う」と一口に言っても、生成AIの存在を意識することなくツールやサービスを使っている場合と、自らの意思で生成AIを使っている場合がある。
本定量調査およびインタビュー調査では、後者を扱う。前編である本稿では、就業者の生成AI活用状況と、生成AIによる自身の仕事や働き方への変化実感を見ていく。
就業者の生成AI活用頻度と領域によって4群に分類
今回、生成AIの活用者を、週に1回以上生成AIを使っている人とし、〈生成AI活用群〉と名づけた。次に、〈生成AI活用群〉を活用領域によってさらに3分類した。1群目は、生成AIを主として、「仕事で、プログラミング、シミュレーションを行ったり、仕事で用いるチャットボット等を製作している」人で、比較的生成AIを高度、応用、創造的に使っているため、〈仕事×創造的活用群〉と名づけた。2群目は生成AIを主として、「仕事で、文書作成、調査、要約、翻訳、アイデア出し、社内版チャットボットの活用等に使っている」人で、情報収集や文書生成など比較的基本的な使い方をしている群ということで〈仕事×基礎的活用群〉と名づけた。3群目は生成AIを主として仕事では使わず、「趣味、遊び、日常生活」もしくは「学び、スキルアップ」に使っている人で、〈プライベート活用群〉と名づけた。加えて、上記に該当しない人(生成AIを使っていないなど、週に1回未満の使用頻度の人)を、〈生成AI非活用群〉と名づけて、活用群と非活用群の比較をする際に用いた。
仕事×創造的活用群は、生成AIを広範に利用
〈生成AI活用群〉に、仕事における生成AIの活用方法を尋ねた(図表1)。〈仕事×創造的活用群〉〈仕事×基礎的活用群〉ともに、「文書作成」が最も多かった。その他、共通して、「調査、情報収集」「要約」「翻訳」の選択率が高く、〈仕事×創造的活用群〉においても生成AIの利用は基礎的なものがメインであることがわかる(本件についてのインタビュー結果から見た補足を後述する)。また、〈仕事×創造的活用群〉は15の活用方法のうち11で〈仕事×基礎的活用群〉よりも選択率が上回っており、より広範な使い方をしていることがわかる。