ここまで社会環境や教育、労働法や採用活動の影響を受けて、一定の共通点を持ちながらも「自分軸」を大切にする多様性に富んだZ世代の姿を見てきた。その多様な個人にあって、職場や仕事への満足感、仕事観やキャリア観に影響を与えているものは何かを独自調査によって掘り下げる。
Works編集部は、若年労働研究に取り組むリクルートワークス研究所・主任研究員の古屋星斗の監修のもと、大学生約500名、大卒の29歳までの就業者約1800名のZ世代にインターネット調査を行った。高校時代までの生活環境や経済状況、大学時代の経済状況、入社前の社会的経験、親から受けてきた期待、コロナの影響など過去の環境も回答してもらった。就業者には現在の就労状況(労働時間、所得、働き方など)、思い描くキャリアゴールや現在の会社の離職意向など、未来についても聞いた。
年齢層によって回答傾向が異なるのではないかという仮定のもと調査を行ったが、ほとんどの項目で有意な差はなかった。ここでは、就業者を中心に満足度、仕事観、キャリア観に影響するもの、理想と現実のギャップを掘り下げる。
Z世代の満足度を左右するもの
調査では、就業者に今の会社、所属している部署、仕事、生活、収入への満足度などを聞いている(図1)。多少の差異はあるが、概ね「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」の合計は40〜50%だ。
「これを因子分析すると、今の会社、所属している部署、今の仕事に満足しているという『仕事満足』因子(青*)と、生活や収入、キャリア形成の可能性に満足する『ライフキャリア満足』因子(黄*)の2つの因子に整理されました」と、古屋は説明する。今回は主に、どんな要素が仕事満足因子と相関があるのか、分析を試みる。
仕事満足因子スコアを被説明変数とする重回帰分析を行うと(図2)有意に相関があったのは、「所得」「労働時間」のほか、「入社前の社会的経験」が浮かび上がった。