多様な働き方

スポットワークは働き手「31.4万人」分の力を生み出している

2025年01月22日 転載元:リクルート ワークス研究所

スポットワークは働き手「31.4万人」分の力を生み出している

リクルートワークス研究所では、近年の急速な労働市場の変化や労働法の改正に伴い働く人々にどんな変化が起こっているのかを検証する調査(「働き方のこれからに関する1万人調査」)を行った。本調査はリクルートワークス研究所が毎年行っている5万人規模の就業者に対するパネル調査である、全国就業実態パネル調査(JPSED)と接続可能な調査という形で実施しており、過去の就業状況などと合わせて分析することができる。

さて、近年、大きく注目されるテーマの一つがスポットワークと言われる数時間単位で継続を前提としない1回限りのパートタイムワークである。過去に実施されたギグワーク(※1)研究のように実態把握を企図した調査・研究が十分ではない領域であり、他方で、特に飲食店や軽作業の人手不足が深刻化している現場において、重要な労働供給主体となりつつある経済活動である。

スポットワーカーが活躍する様子もさまざまな形で報じられており、登録者2500万人、累計実施者数は900万人を超えたという企業もある(※2)。急速なスピードで働き手不足の現場で活用されつつあるスポットワークについては、従来の労働統計で捕捉することが極めて困難であるという特徴がある。厚生労働省の統計における「労働者」「パートタイム労働者(※3)」といった形では把握できていないと考えられ(なお一般労働者(※4)の月平均労働時間は155.7時間、パートタイム労働者の月平均労働時間は79.6時間(※5)である)、スポットワークによる労働は確かに現場の大きな助力となっているが、どの政府統計にも登場することがない実態の見えにくい活動となっている。

本稿ではスポットワークについて、日本の労働市場全体における現在の規模感を推計するとともに、どういった人が従事しているのか、また本業との関係性(※6)などといった点について分析する。


現在の労働投入量に対する割合は0.47%

調査では、スポットワーク実施の有無、及びここ1年間の実施頻度を聞き(※7)、その上で実施者に対してはその1回あたりの実施時間を聴取(※8)した。調査対象は全国の16~84歳の就業者である。年齢層、性別、就業形態によって割付を行い全国の就業者の分布に合わせて回答を回収している。サンプルサイズは10681である。

まずは実施の有無について分析する(図表1)。この1年間でスポットワークを1度以上実施したことがある者の割合(実施率)は全就業者のうち8.2%であった。また、その頻度についても聞いている。1年間で1回、1年間に2・3回実施した、という者がともに1.8%と最も多く、半年間に2・3回も1.3%と多い。頻度が上がるにつれて出現率が低下しており、1週間に4・5回以上実施しているという者は0.2%であった。

この実施率・実施状況については正規社員もほとんど同じ傾向を示したことは興味深い(図表2)。正規社員に絞った際のスポットワーク実施率は8.6%であり、その実施頻度もほとんど同様であった。非常に多様な就業者がスポットワークに従事していることが示唆されている。
なお、この実施率については若手が高く、29歳以下においては14.0%に達していた。

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