![「従業員が働き続けたいと思える会社づくり」で離島×建設業の採用難に挑む](/sustainability/iction/assets/ot_0928_01.jpg)
鹿児島本土と沖縄本島のほぼ中間に位置する奄美大島。世界自然遺産に登録される豊かな自然、独自の文化が育まれてきた一方、「高校を卒業したら島外へ」と若者の流出が止まらず、島内企業の多くが人材不足に直面しています。 株式会社グリーンテックもその1社でした。40年以上にわたり建設業を営んできましたが、建設業=労働環境が厳しいというイメージも重なり、人材確保に苦労していました。社長の且(かつ)優藏さんは、父親から会社を引き継いだタイミングで職場改革に着手。休日数増加、ダブルワークOKなど数々の取り組みをおこなった結果、採用成功や組織の若返り、離職防止などの成果が得られたといいます。今回は且さんに取り組みの背景や工夫について伺いました。
● 社名/株式会社グリーンテック
● 所在地/鹿児島県奄美市名瀬浦上町1番地19
● 主な事業/総合建設業(土木・舗装・解体・エクステリア工事など)
● 従業員数/34名(2024年10月時点)
「いつか会社が立ち行かなくなる…」ビジョンづくりから職場改革に着手
奄美大島では高校卒業と同時に島外へ進学・就職する人が多く、人口減少や少子高齢化の一因になっています。且さんも関東の大学へ進学、現地で就職しましたが、社会人4年目になった2010年にUターンし、父親が経営するグリーンテック社に入社しました。
「当時若手は私を含めて数名しかおらず、周りはベテランばかり。女性も少なく、昔ながらの建設会社という感じでした。 高卒で島内企業に就職する人はごく僅か。奄美の風土に惹かれて移住してくる若い世代もいますが、そうした人が選ぶのは観光関連の仕事が中心で、建設業は見向きもされません」
2019年、且さんは父親の後を継いで社長に就任。この状況を変えなければ、いつか会社が立ち行かなくなる。その危機感を胸に職場改革に着手しました。まず取り組んだのは会社ビジョンの策定です。
「建設業は道路をつくったり河川を補強したり宅地を造成するなど、地域づくりの重要な役割を担っています。建設業を通してふるさとを次の世代に残していこうという想いを込めて『ふるさと奄美を次世代へ』というビジョンをつくりました」
社内チャットツールや年度初めなど節目のタイミングで必ずビジョンに触れることで、今では従業員にも浸透しているといいます。
「会社として大切にすることをはっきり発信したことで、『何のために働くのか』をそれぞれが意識するきっかけになり、自ら考えて動ける従業員が増えたように感じています」