「お互い働いているのに、私ばっかり家事してない?(泣)」「オレだって、よかれと思って家事してるのに、いちいち文句言わないで!」好きで一緒になったはずのパートナーなのに、イライラは募るばかり。そんなストレスを抱える働くパパとママのための新企画がスタート。匿名座談会で夫婦間のモヤモヤとイライラを包み隠さず吐き出しながら、夫婦間コミュニケーションのプロのアドバイスをもとに、ごきげんな関係へと改善を試みていく30日間の様子をレポートします。
Season1 妻編02では、3名のワーママが「夫へのイライラ爆発を事前に予防する」為に、パパの行動が自然と変わる言葉の力を武器にする方法、家族みんなが安心して毎日を過ごせるミーティングを開く方法を学びました。つづいて今回は、30日間それぞれ取り組む、目標=トレーニングメニューを決定します!
【前回までの3人のお悩み内容】
Aさん: 夫に頼んだ家事が実行されず放置されることがあるのがお悩み。
Bさん: 時短勤務と家庭の両立の努力を踏みにじる夫の心ない言葉がお悩み。
Cさん: 家事分担比率「6:2」は「想定範囲」と言う夫がお悩み。
⇒ Season1 妻編01『夫へのイライラ』は爆発寸前!3名のワーママが関係改善に挑む!
⇒ Season1 妻編02『夫へのイライラ爆発』予防策を身に付けよ!
<座談会参加者紹介>
Aさん(左)
サービス業正社員の企画職。1人目を出産後、10時〜18時の時短勤務と一部リモートワークに。2人目を出産して育休中。夫は昨年退職、今年に入って起業。家事分担比率は妻85%、夫15%。保育園に通う女の子と、0歳の男の子がいる。
Bさん(中央)
小売業正社員で海外事業部バイヤー職。9時45分〜16時35分の時短勤務と一部リモートワーク。夫は正社員で土日休みのフレックス勤務。家事分担比率は妻70%、夫30%。1歳の女の子がいる。
Cさん(右)
ベンチャー企業正社員。9時30分〜16時30分の時短勤務。夫は最近起業。家事分担比率は妻57%、夫22%、状況に応じてが21%。1歳の女の子がいる。
今月の家族の重要テーマを1つ決めよ!
山本先生: ファミリーカレンダーを使った定例ミーティングでは、今月のテーマを決め、その月に家族で大事にしたいことを話し合っていただけたらと思います。
例えば、「おはようございます」を家族みんなで気持ちよく言いましょうね、だけでもよいのです。
言葉遣いを丁寧にすることは、とてもよいことだし、子どものしつけにもつながります。
Aさんは、お子さんが2人いらっしゃいますが、定例ランチデートをされていたくらいですから、定例ミーティングはできそうですか?
Aさん: はい!やってみます。
* 子育て学協会 ファミリーカレンダー
夫に雑な対応をされてショックなときは
山本先生: Aさんは普段からよく会話をしているようなので、コミュニケーションをさらに次の段階にステップアップするために、「自分はどこまで話を聴けているか」という視点でみてみませんか?
パパがママに雑な対応をしてきたときは、イラっとして言い返す前に、「もしかして、私が先に雑な対応をしてしまったのかな?」と、考えてみてください。
時間はたとえ5分でもよいので、ちゃんと話を聴きたいという姿勢を見せて、向き合ってみると、よい変化が起こりそうですよね。
Aさん: そう言われてみると、色々な場面で夫のイライラも自分の態度が発端だったのかなと思えることもあります...家族って鏡ですね。
振り返ってみると、起業したてで仕事のことも色々話してくれるのですが、育児で忙しいのになとか思っていました。もうちょっと真剣に聴いてあげたほうがよかったと反省しています。
山本先生: パパはきっと、Aさんにいちばん、起業のことを応援してもらいたいのですよね!
Aさん: 仕事のこと、家族のことをおりまぜながら、今月やることを話し合って、一カ月後には振り返って、お互いを尊重して感謝するっていうことをしてみたいなと思います。
夫の話もよく聴いて、カレンダーで、予定だけではなく、家族みんなで応援し合う気持ちを可視化してみます!
イライラしたときの折り合いのつけ方を共有せよ!
山本先生: もうひとつ、みなさんにおすすめなのが、イライラしたときの折り合いのつけ方を共有しておくことです。
Bさん: え?どういうふうにですか?
山本先生: たとえば、「このことで私はイライラしています。今度の休みにご飯を作ってくれたら、私はこのイライラをなおすと約束します」とかね。 あのコンビニのシュークリームを買ってきてくれたらきげんをなおすとか、ひとつ決めて共有しておくといいですよ。
夫婦が仲良くなれる鉄板「決め台詞」とは?
Cさん: 先生がいちばんおすすめする、仲良くなれる決め台詞って、ありますか?
山本先生: ありますよ!ずばり、「仲良くしようね!」です。簡単でしょ?(笑)。
イライラしていても「仲良くしようね!」と明るく言葉にしてみると、ガラリと雰囲気が変わるはずですよ。
イライラをそのままぶつけて嫌な言い方をしてしまうと、反射的に相手も「じゃあ、置いとけばいいじゃん!」と言い放ってしまいます。嫌な言葉が相手の嫌な行動を引き出してしまうのですね。
感情を一瞬ぐっと抑えて、明るく前向きに仲直りを提案したり、ていねいな言い方で頼んでみたり...パパがバスタオルをタオル掛けに掛けたことをほめたら次の日からもやるようになった、というお話、あったじゃないですか(Season1 妻編02で紹介)、ほめるとやってくれるものですよ。
そして、定例ミーティングでは、共通の趣味や好みに合わせて、好きなお酒を用意するとか、映画も観るとか、仲良くなれる時間にしてみてくださいね。
「ごめんね」と夫に言ってもらえてる?
山本先生: 「ごめんね」という言葉は、パパから言ってもらえていますか?
Bさん: うーん、こちらが本気で怒っていてマズいなと思ったときだけ、ですね。
山本先生: Cさんは?
Cさん: うちは強情っぱりで、あまり言いませんね、「それは悪かったけどさ」くらい(笑)。
山本先生: あら、それは「ごめんね」じゃありませんよね。「ごめんね」と言ってほしいとき、こちらから先に謝ってみてください。
「こういうことをしちゃって、こんなことを言っちゃって、ごめんね!」と、具体的に、そしてかわいくね(笑)。
お互いに意地を張り合っているだけで、「ごめんね」と言ってくれたら終わるのにというときがありますよね?そんなときは、こちらから先にさらっと謝れば、相手も謝ってくれますよ。
「謝るときは先に」「何がごめんねなのかは具体的に伝える」ということは、ブートキャンプ全員の共通ミッションとして、ぜひみなさん、意識して取り組んでみてくださいね!
真面目にがんばるより「適当」が子どもの幸せ?
山本先生: Bさん、ご自分のことは、几帳面だと思いますか?それとも大雑把?
Bさん: 最近はだいぶ大雑把になってきました。もっと適当でいいやって(笑)
山本先生: 「適当」って、わるいイメージがあるけど、とてもよい言葉ですよ!手抜きをせず適当にやることを「悪」とするがんばりやなママたちがいますが、毎日急いで帰ってきて、すごく頑張ってイライラしながらご飯をつくるより、子どもは何を食べようと「きげんのよいママと食べたい」というのが本音です。
日本語には「ごきげんよう」というとてもすてきな言葉がありますよね。夫婦でごきげんでいることのほうが、家事で完璧を目指すより家族全体が明るくなるかも。
Bさん: 「ごきげんよう」って、本当に大事だなと思います。娘の前ではできるだけ笑顔でポジティブにとがんばっているのに、娘が寝た後、気がぬけて、ぞんざいにしてたなあって気付かされました(笑)。
家族でいるときに、自分がきげんよく過ごせるようにしてみたいと思います!
山本先生: 幸せそうな家族って、いつもママがニコニコとごきげんにしていますからね。
休日は子どもとおでかけしなくてよい?
山本先生: Cさんは、いかがでしょう。家族の定例ミーティングをするなら、そこで話してみたいことは?
Cさん: はい、うちも最近、起業したてなので、土曜も仕事をしていて、土曜はワンオペです。なので、日曜を一応家族の時間にしていますが、私がマッサージに行ったり、夫が一人で出かける用事があったりと、家族3人で過ごせる時間が意外と少ないです。
3人そろっていたとしても、まったりして一日が過ぎてしまうようでもったいなくて。「今日はみんなでこれをしたね」という休日の過ごし方ができると、満足度が上がるのかなと思っています。
山本先生: 先ほどの「適当」に通じますが、「何かしなくちゃ」と、気負わなくてもよいと思いますよ。
Cさん: どこかに出かけて共通の経験をしたいと思ってしまうのですが?
山本先生: パパも起業したてで、日曜は疲れていますよね。お家の中で「家族一緒にリラックスしてみよう」と考えてみるのはどうですか?
子どもは、出かけることそのものよりも、パパとママのきげんがよい中にいることが大好きです。 わざわざ遊園地や動物園に出かけて、「待ちなさい!どこいくの!」って怒ったり、道中で夫婦ゲンカするくらいなら、リラックスしてきげんよくいられることをおすすめします。
動の遊びと静の遊びを使い分けよ!
山本先生: 世の中のパパもママも、休日はおでかけすることがよいことだと思っていますよね?
ところが、最近の保育業界では、土日に子どもたちを連れ回し過ぎだと問題にさえなっています。
休日は何もしないで脳をリラックスさせる時間をつくらないと、常に子どもの脳が興奮状態になってしまうからです。
子どもにとっては、体を動かす「動」の遊びと、お家の中の「静」の遊びのバランスが大切。
パパやママと一緒に遊ぶのは、とてもよいことですが、無理して張り切らなくてもよくて、休日は脳も体も休めて整える時間だと思ってください。
Cさん: 今も日曜日はけっこうリラックスしていますが、このままでよいのでしょうか?
山本先生: お子さんが今1歳ですよね。そろそろしつけも始まるので、お家の中のお片付けを一緒にやってみるのは、いかがですか?たとえば、一緒に玄関を掃除したり、靴を片付けてみるとか、意外とリラックスしながら楽しんでできますよ。
Cさん: なるほど!考え方の転換。それも子どもにとっては遊びになりますね。
Cさん: カレンダーを使った定例ミーティングで、まずはお家での休日を楽しむことを話し合ってみたいなと思います。
山本先生: 休日はお家でリラックスして一緒に過ごすことで、パパの事業を応援しているということも伝えられる機会が増えそうですね!
各自、30日間の目標=トレーニングメニューを決めよ!
山本先生: それではみなさん、30日間の目標を宣言していきましょうか。
Aさん:
「はい、わたしは、家族みんなで応援し合う気持ちをもってファミリーカレンダーで目標設定することと、ながらトークではなく、夫の話をちゃんと聴きたいという姿勢を見せることにします。」
Bさん:
「わたしは、まだまだお互い成長期と思って夫に接すること、『ありがとう』を具体的に言葉にすることをやってみます!」
Cさん:
「ファミリーカレンダーを夫婦で手書き作成すること、主体的に家での休日を楽しむこと、パパを応援する気持ちを伝えることに取り組みます!」
山本先生: みなさん、GOOD!それぞれ30日間取り組むトレーニングメニューが決まりましたね!「ごきげん夫婦」を目指して、楽しみながらそれぞれの目標にトライしてみてくださいね。ではまた、中間報告の二週間後に、お会いしましょう!
プロフィール
山本直美氏
特定非営利活動法人子育て学協会会長。(株)アイ・エス・シー代表取締役。幼稚園教諭を経て、大手託児施設の立ち上げに参画。95年より自らの教育理念実践の場として、保護者と子どものための教室「リトルパルズ」を運営。キッザニア日本進出時の安全管理監修、リクルート事業所内保育室やウィズブック保育園、リトルパルズ・アカデミーなどを運営。独自の教育プログラムや保護者向けの講座を提供。著書に、『できるパパは子どもを伸ばす』(東京書籍)、『子どものココロとアタマを育む 毎日7分、絵本レッスン』(日東書院)など。
(株)アイ・エス・シー
特定非営利活動法人子育て学協会