山本先生: コミュニケーションの質を上げることができたみなさんに、次のステップとして取り入れていただきたいファミリービルディングのツールが「快動」です。 ママもパパもお子さんも、誰でも好きなことをする時間を月1回は持たないと、普段元気に活動できないと思うんです。
一番「快動」が表れるのが子どもたちで、彼らは楽しいことを何度も繰り返しますよね。好きな絵本を何度も持ってくるし、同じ動作を繰り返すブランコも典型的なもの。
そして「快動」はその人のアイデンティティ、自分らしさとつながっているのも面白いところです。皆さんは何かありますか?
Bさん: ダンスと旅行。ジャズダンスとクラシックバレエをやっています。
Aさん: 私もカフェ巡りとダンス。昔演劇をやっていたのもそうですが、違う自分になれるのが好きみたいです。
山本先生: 自分自身の「快動」を見ていくと、欲求が表れますよね。例えばダンスは自己表現が好きな人。
Cさん: 私は本を読むことと、英語を勉強すること。あと最近、セルフエステに行きたいと思っているんですが、せっかく行き放題なのに、夫に「週2回はダメ」って拒否されてしまって...。こういうときはどう言ったらいいですか?
山本先生: 諦めないことかな。コミュニケーションを楽しんで、条件を出してみたり、「どうか一つ...」とお願いの仕方を変えてみたり。
後は、先にパパの「快動」を保証してあげる。「好きなことしに行っておいでよ、その代わり私もこんなふうに楽しむね」と尊重し合うの。
Bさん: ちょっと、パパ一人で出かけすぎなのでは?と思っても、気持ちよく「行ってきてもいいよ」と言うと、「やっぱり行くのやめようかな」ってなったりしますよね(笑)。
山本先生: そう、不思議なものですよね。
「快動」の取り入れ方で大切なのは、個人としても、家族としても、楽しい時間を「定期的に」入れること。「気まぐれ」ではなくね。そうするとお互いの計画が立てられるので、楽しく過ごせて、穏やかな状態でいられるんじゃないかなと思います。
「快動」は、アクティブに出かけることばかりや、室内で過ごすことばかりではなくて、「動」と「静」、「室内」「屋外」それぞれで個々が夢中になれることや、発散できることを持っておくと、その時々の自分の状況に応じてこの「快動」を行おうかなと選べるので、自分を整え、ごきげんでいられる手段としておすすめです。
これには子ども用の遊びが記載されていますが、子育て学協会でおすすめしている「遊びのバランス表」を参考にしてくださいね。
予め相談相手を決めておくことが、孤立しない秘訣
山本先生: もう一つ、最後にお伝えしたいのは、子育て学協会では「7つのパイプ」理論と言っているのですが、人的環境を作ることが心の安定につながるという考えです。
簡単に言うと、あなた自身が好きな人とたくさんつながっておくということ。
7つのパイプとそこから得られるものは「①母(感情・甘え・愛情)」「②父(理性・自律・理想)」「③兄弟姉妹(理不尽・社会性・協調性)」「④友達(共感・共存・友情)」「⑤他人(信頼・規律・礼儀)」「⑥親戚(絆・信頼・協調性)」「⑦夫婦関係(信頼・愛情・安定感)」です。
ちなみに、全てのパイプが強くなくても、ほかのパイプで補っていけるので大丈夫です。
人は孤立すると、気持ちが凶器に変わると言われています。人間関係が希薄だということは、凶悪犯罪を起こしている人たちの共通項でもありますよね。
親や兄弟親戚が近くにいなかったとしても、お友だちでも先輩でもいいので、「この件は誰に相談しようかな」って目星を付けて、予め「何かのときには力になってね」とお願いしておくといいと思います。
私もみんなもそうだと思いますが、人は誰かの役に立ちたいと思っているものだから、遠慮せずに。
自分ひとりだけで抱えこんで苦しくなってしまうと、言葉にならなくなって、相談することすら忘れちゃうんですよ。でも事前に「誰々に相談すればいいから大丈夫」と、決めておけば、安心できる。
決して孤立しないで、子育てやファミリービルディングをしていただきたいなと。テーマごとに色々なチームでみんなで子育てしていくイメージがいいなと思います。
家族づくりも学ぶ必要がある。これを知ることがスタート地点
山本先生: では最後に一言ずつ感想をいただきたいと思います。『30日間夫婦ストレス解消★ブートキャンプ』に参加してみていかがでしたか?
Aさん: ありがとうございました。
このような形でファミリービルディングの第一歩を経験できたのがよかったです。今までは感情にまみれて毎日がカオス状態で、その場しのぎでクリアしていた感じでしたが、いったん冷静になって「私がいま怒っているのは、こうだからである」と客観視できたのがいちばんよかったなと思います。
Bさん: 私も自分を客観視できて、ある意味、初心に戻れました。先ほども少し話しましたが、わかり合っている二人だから結婚したんだ、ということを思い返すことができて、改めて一歩進めたような気がしています。 今回学んだことを日常化して、いいチームになっていけたらと思います。ありがとうございました。
Cさん: ここまでほかのご家庭のことで突っ込んで話を聞く機会ってなかなかなくて(笑)。それぞれ全然違う環境なのに、「あるある」がこんなにあるんだ!って発見もありました。一番参考になったのはユーモアアプローチやメタ視点。PDCA(計画、実行、評価、改善の4つの行動)を回していきたいです。
山本先生: みなさん、このプログラムに向き合ってくださり、ありがとうございました。
ファミリービルディングは家族づくりの勉強。「家族づくりも学ぶ必要がある」ということを知るのが、最初のスタートなんですよね。
誰も教えてくれないから、感情にさいなまれて、子どもに当たってしまったりしてしまう。もちろん上手く行かないこともあるけれど、自分らしさを忘れずに向き合いつづけていれば大丈夫、ということだけは忘れないでいただけたらと思います。
30日間チャレンジの最初の頃に比べて、旦那さんのことを話す皆さんの表情が優しくなりましたね。
一同: (笑)
山本先生: せっかくご縁があって結婚したんですから。別れるのは簡単ですけども、お互い成長し合うというのもいいかなと思っているので、ぜひこれからもがんばってください。心より応援しています!
プロフィール
山本直美氏
特定非営利活動法人子育て学協会会長。(株)アイ・エス・シー代表取締役。幼稚園教諭を経て、大手託児施設の立ち上げに参画。95年より自らの教育理念実践の場として、保護者と子どものための教室「リトルパルズ」を運営。キッザニア日本進出時の安全管理監修、リクルート事業所内保育室やウィズブック保育園、リトルパルズ・アカデミーなどを運営。独自の教育プログラムや保護者向けの講座を提供。著書に、『できるパパは子どもを伸ばす』(東京書籍)、『子どものココロとアタマを育む 毎日7分、絵本レッスン』(日東書院)など。
(株)アイ・エス・シー
特定非営利活動法人子育て学協会