DBJアセットマネジメントのケース ―「ZIP WORK」という働き方で、専門スキルを十分活かした"短時間ワーク"を
DBJアセットマネジメント総務部長・行森氏(左)とグローバル投資運用部で働く丹波氏(右)
労働人口の減少に伴い、企業にとって専門性の高い人材の確保が難しくなっています。 一方で、専門的なスキルや知識を身につけているにも関わらず、育児や介護などの時間的制約によって 、活躍の場が見つからない方も数多くいる――という現状もあります。
この両者をつなぐ新しい働き方「ZIP WORK(ジップワーク)」を導入する企業が増えています。 日本政策投資銀行グループで、不動産ファンドの運用や海外ファンドに対する投資助言などを行う DBJアセットマネジメントでは、2017年4月からスタートした海外不動産ファンドの部門で ZIP WORKの受け入れを始め、現在3名のZIP WORKERが就業中です。
短時間でも専門スキルを活かして働けるZIP WORKは、 企業や働く人にどのようなメリットがあるのでしょうか。同社の総務部長・行森康裕氏と、 ZIP WORKERとして働く丹波朝子氏に取材を行い、この新しい働き方について語っていただきました。
時間という制約を外したら、求める専門性を併せ持つ人が見つかった
行森氏がZIP WORKの受け入れを検討し始めたのは、 新規事業である海外不動産ファンド業務が2017年4月に立ち上がって暫くした6月。 運用に伴う管理業務が本格化する中で、長時間労働の是正をはかるべく人員の補充を検討していたが、 なかなか英語スキルと金融知識を兼ね備えた人が見つからず、頭を悩ませていた。
「ただ、既に運用は開始している。なので、何とか人を充当しなければというときに ZIP WORKという働き方を知りました。リクルートスタッフィングの営業担当からの提案によると、 登録スタッフの中には、短時間であれば、例えば金融機関での経験もあって、 数字の正確性の重さが分かっていたり、英語のスキルがかなり高い人もいたりするということでした。 確かにそういう道もあるなと思って、まず2人お願いすることにしたんです。」(行森氏)
このZIP WORKERを2名受け入れるという決断は、業務を行う際に求められていた英語力や 金融知識といったスキル面を、期待通りに補う結果になった。 その状況をみて「うちの部署にもぜひZIP WORKERを!」という声が高まり、 新たに隣のチームで働くようになったのが、丹波朝子氏。 丹波氏は外資系金融機関で13年の勤務経験があり、主に為替や金利などを扱う仕事をしていました。
外資系金融機関での13年の勤務経験をもとに、さらなるスキルアップに意欲的な丹波氏
結婚を機に2009年に退職。その後も、「ちょっと視野を変えてみたい」と大学院で会計を学びました。 一時期は家事・介護に専念するも、ブランクを経て、まずはフルタイムでなく短時間勤務で、 かつ専門性の活かせる仕事を、と考えていたときに見つけたのがZIP WORKという働き方でした。
「家のことに費やす時間を確保しつつ、働くことができたら一番理想的なんじゃないかと。 そう思って登録したリクルートスタッフィングさんからお仕事の紹介をいただきました。 金融業界で働けるという魅力を感じながらも、全く経験のないプロダクトだったので、 大丈夫かなという不安と両方あったと思います。」
多様な働き方を受け入れることで「求めるスキルが満たされる」
現在働き始めて5か月。短時間勤務ということもあり、公私ともにできるだけ時間を効率的に、 という意識が高まったという。これまでの知識や経験を活かしながら、 「今後はアセットマネジメントやグローバルな商品を扱う仕事にも関わっていきたい」 と意欲的に話します。
「ZIP WORKという働き方でハードルが下がって『ちょっとやってみよう』 という気持ちにさせてくれたことが私にとって大きい。高いスキルや経験をお持ちの方が環境に よって一度退職しなければならない状況がある中で、ライフステージに応じて働き方を変えられる、 背中を押して貰えるというのは、魅力のひとつなのかなと思っています」(丹波氏)
企業が時間的な制約を外せば、求めるスキルのある人が見つかる――。 「ZIP WORKであれば時間は短いけれども、当社で言えば英語力や金融機関での 経験といったスキルの部分を満たしてくれる方がいる。迎え入れるメリットは大きいと思います」 と行森さん。さらに働き方改革を推進する上で、 「マネジャーの手腕が問われている」と話します。
「何もかも要件を備えた人を採用するのは今の時代相当難しい。 では、仕事量が増えていく中で業務をどのように分担し、解決していくのか。 その一つの選択肢が、マネジャーが多様な働き方を受け入れて、 適材適所でうまく仕事を割り当てていくということ。そうすることで実際に、 当社では求めていた人材に巡り合えたので、同じような状況の企業もあるのでは。 もし二の足を踏んでいる担当者の方がいたら、"一度試してみては?"とお勧めしたいと思いますね」
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