株式会社ウゴカス 佐々木 圭一氏
コピーライター、作詞家、大学非常勤講師。日本人で初めて米国の広告賞「One Show Design」で金賞を獲得するなど国内外で合計55のアワードを獲得。著書『伝え方が9割』は、シリーズ100万部を突破するベストセラー。
2019年03月28日
何気ない夫婦の会話なのに、ふとしたきっかけで"すれちがい"が発生すること、ありませんか?そこで、「夫婦すれちがい会話相談室」では、実際の会話と相談内容を元に、専門家が会話のポイントをアドバイス! 今回のアドバイザーは、『伝え方が9割』著者株式会社ウゴカス 佐々木 圭一氏です。
今日、上司が出張になってて承認もらえなくて困っちゃった!
それって予定分かってたんじゃない?
出張があることは知ってたけど明日からだと思ってて...
今日承認下りないと計画が大幅に遅れると思って焦った〜
三日間戻ってこないからさ
で、オチは?
...
お互い仕事が忙しく、夜遅くに帰宅すると、妻が今日起こったできごとをいくつも話してくるのですが、どこにもオチがありません。それに対して「こうじゃない?」と意見を言ったり、「オチは...」と質問したりすることで、不穏な空気になることがあり困っています。どのように返すと、会話が弾むようになるのでしょうか?(男性会社員)
伝え方の基本は、自分が言いたいことをそのまま言うのではなく、いかに相手の視点で話ができるかです。
今回のご相談には、2つのステップがあります。
多くの女性は、解決法を求めて話しているのではなく、共感を求める傾向にあります。男性は仕事から帰ってきたばかりで頭の中がまだ"仕事モード"だと、その問題に対して、最も効果的な解決法を提案したくなります。でも、家庭のコミュニケーションはそうではありません。
いつも意見や質問をして不穏な空気になるということは、奥さんはきっと、あなたの的確な意見が欲しいわけではなく、「話に共感して欲しい」、「自分の頑張りを認めて欲しい」と思っているはずです。大切なのは、伝え方の技術「認められたい欲」を使い、「よく頑張ってるね」と、奥さんの行動を認めてあげましょう。
「そっかー。大変だったね。よく頑張ってるね。」(認められたい欲)
ほぼこれで完成なのですが、奥さんが本当に解決方法を求めているケースもあるでしょう。その場合は、<ステップ2>に進みます。
ここでは、多くの男性の得意分野の「問題解決」です。ただ、ここでもビジネスシーンで部下に指導しているように「こうやってるからダメなんだよ。やりかたを変えたら?」などと、解決策を一方的に伝えてはいけません。
「じゃあ、一緒に解決策考えようか」
これは、伝え方の技術「チームワーク化」です。「一緒に解決策を考えよう」と言うことで、奥さんは「寄り添っていてくれている」と感じ、あなたが"頼りになる旦那さん"だと再確認するでしょう。
――ご紹介した伝え方が良いことは理解していても、「毎回そうはできない」という方もいらっしゃるかもしれません。上記がベストということを知っておいた上で、奥さんの機嫌と、自分の気分を測り、今回は何と言うかを判断してみてください。
男女問わず、人には大きく分けて「納得感を得る」「会話によって行動に移す」など、会話自体に目的を持ちたいタイプと、"話す"こと自体が目的となっているタイプがいます。後者の場合は、話すことが目的なので、会話の深い内容やオチは重視していません。
会話に対して自分とは価値観が異なるタイプがいるとわかったうえで、「オチがない」と言われたら、どのように返せばいいのでしょうか?
「信頼しているから、何でも話したくなっちゃうんだよね」(認められたい欲)
奥さんから頼られたり認められたりして、嬉しくない旦那さんはいないはず。人は認められると、相手の期待に応えたくなるものです。今後も、旦那さんへの信頼感を意識していれば、例えオチのない話をしたとしても、寛大に聞いてもらいやすくなるでしょう。
プロフィール
株式会社ウゴカス 佐々木 圭一氏
コピーライター、作詞家、大学非常勤講師。日本人で初めて米国の広告賞「One Show Design」で金賞を獲得するなど国内外で合計55のアワードを獲得。著書『伝え方が9割』は、シリーズ100万部を突破するベストセラー。
【夫婦すれちがい会話相談室】
アドバイザー:『伝え方が9割』の著者 佐々木圭一氏
アドバイザー:映画『うまれる』『ずっと、いっしょ』の監督 豪田トモ氏
アドバイザー:NPO法人子育て学協会会長 山本直美氏
アドバイザー:NPO法人ファザーリング・ジャパンの元祖イクボス 安藤哲也氏